ネタバレあり
2018年に亡くなったアレサ・フランクリンの伝記映画。
アレサ・フランクリンと言うと真っ先に頭に浮かぶのが『ブルースブラザーズ』。
彼女が歌うThinkはインパクトあった。というか、実はそれ以外の彼女のことをあまり知らない。
映画はちょっと不親切というか、ある程度彼女の人生に予備知識があれば、すんなり話しが入ってくるのだろうが、彼女が子供の頃に男性関係を持ったかのような描写があったり(性的虐待のようにも見える)、いつのまにか子供が2人出来てたり、父親と母親がどういう経緯で離婚に至ったのかとか、このあたりの経緯がふわっとしていていまいち腑に落ちない。アレサが子供の頃の記憶を封印するような争いが両親にあったようだが、はっきりとした事は映画の中ではわからなかった。
ネットで調べた範囲だと、彼女は13歳と15歳の時に出産している(結婚後の子供も含めて合計4人の子持ち)。
実父との間に生まれた子供ではないかと噂もされたようだが、近所の少年が父親だったらしい。
実父は実父で高名な牧師だったが、アルコールやマリファナで乱交パーティを開いていたなんて話しも。
アレサの母親は父親の女癖の悪さが原因で離婚したともある。
アレサは性に関して早熟でかなり若い頃からアルコール依存症だったとか。
おまけにアレサの夫であるテッド・ホワイトはポン引きだったらしい。
そりゃー父親が結婚に反対する訳だ。
こういう背景は映画ではいまいちわかりにくくて、アレサ・フランクリンの事をよく知らない人間には厳しい作り。
雰囲気的にアレサが父親に強く支配されていたことや、夫がDVだったことなどは伝わってくるものはあるんだけど、なんか表面的な描き方でいまいち心に刺さらない。キング牧師との関わりもいまいち描写が薄い。でも彼女が子供の頃から教会と深い関わりがあり、宗教、女性問題、黒人問題と言った背景を持ちながら、歌と言う武器で戦ってきたことはわかった。タイトルにもあるように相手を尊重するということは大事なことだなーとは思う。
『ドリームガールズ』でもそうだったけど、女性エンターテイナーは大体男関係で苦労する印象。
そしてこの主の伝記映画の成功と挫折と復活というお決まりのフォーマット。
先に公開されたドキュメンタリー映画『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』の教会礼拝ライブがこの映画のクライマックスであり、最後は本人映像で締めくくられる。
ちらりとブルースブラザーズとの3ショットも観られる。
それにしても晩年の太りっぷりはちょっとすごいね。
まあ、いまいち大きな感動には至らないまでも、この映画はジェニファー・ハドソンの歌声を聴くだけでも価値があるし、ストーリーの弱さをその歌唱力で支えていると言う感じはある。
なんだかんだやっぱりThinkを歌うシーンはテンションあがった。