フランク・ハーバート原作の『デューン』の再映画化。
私は1984年のデイヴィッド・リンチ版と2000年のテレビシリーズ『デューン/砂の惑星』の前編は観たことがあるし、1970年に製作が中止となったアレハンドロ・ホドロフスキーの幻の『デューン』の製作過程を描いた『ホドロフスキーのDUNE』も観た。
なにげに『デューン』好きっぽいけどそういう訳でもない。原作も未読だし。
もともと映像化困難と言われた小説だが、昨今の技術の進歩により、壮大なスペースオペラも見事な映像に仕上げられている。
また、今回は2部に分けて製作が予定されているようで、今回公開されたのはその第1部にあたる。
尺がある分より丁寧に作品を描ける余裕があるし、映像も美しく、キャストも良い。リンチ版より格調高い雰囲気になっている。
だが、何故かあまり印象に残らない出来だ。
リンチ版の『デューン/砂の惑星』はなんだかヘンテコだった。原作ファンには不評だったと聞く。だが、そのヘンテコさがインパクトあって、印象深いシーンがいろいろある。尺が短い割にはわかりやすく説明してくれるので、その世界観を受け入れやすかった。まあ、その説明方法が洗練されているかどうかはともかくとしてね。
しかし、ヴィルヌーヴ版は尺は長いが、説明はあまりないので、リンチ版の知識で保管しながら観た感じ。特に種族の説明とかはリンチ版がわかりやすかったし、最初から皇帝やスペースギルドが姿を現すので、勢力図もすんなりはいってくる感じ。逆に何の知識もない人が観たらこの世界観がわかるのかな?という気もする。
リンチ版はスペースギルドの造形のインパクトとか、ハルコンネン家の醜悪さとか、メンタートの特徴とか、登場人物全てが印象に残るのだが、ヴィルヌーヴ版は配役はいいのに各人物がリンチ版に比べると薄い。良く言えば上品なのかなー。
とにかくキャストは悪くなかったのよ。
ハビエル・バルデムやジョシュ・ブローリンの出演もポイント高い。
チャン・チェンのユエも良かった。
レベッカ・ファーガソン演じるジェシカも格好良かった。ポスターでもど真ん中で主役扱いだね。
で、主役のティモシー・シャラメ。綺麗な顔立ちの若者だが、えらがはってるのがちょい気になる。まああたくしは綺麗な男性に興味ないんで、主役に関しては可も無く不可も無く。
リンチ版で初めてカイル・マクラクランを観た時も面白みのないハンサムと思ったけど、このドラマの主役はそういうポジションなのかもしれない。
レト公爵がオスカー・アイザックとは気づかなかった。レト公爵のイメージって割とリンチ版と同じなのね。
リンチ版ではマックス・フォン・シドーが演じたカインズ博士が女性に変更されている。原作でも男性という設定だったので、あえて女性にした意図はわからない。
リンチ版の『デューン/砂の惑星』は、原作をこの長さでは表現しきれない!と言う話しだったが、ヴィルヌーヴ版は上映時間が長い割には、なんとなくもっとはしょっても良さそうだなという場面が多かった。
特に、ポールとジェシカが逃亡してフレーメンと出会うまでの過程がなんだかだらだらと長くて、長い割にあまり有意義な展開もないので、リンチ版の方がよっぽどサクサクと話しが進んで見やすかったような。
後、ポールがちょいちょい未来を予見する夢や幻覚を見るのだが、そのシーンが多すぎて間延びした感覚を受けた。リンチ版でもポールが未来を予見するシーンは多いが、間延びした感覚は受けなかったな。
それにポールが予見する未来って、主に将来の恋人の姿なんで、割とどーでもいいっていうか…。
とにかく第1部は序章という趣で終わってしまったので、作品として評価しづらい部分ではあるのだが、今のところリンチ版と比べるといまいち面白くない。これは果たして第2部で盛り上がるのだろうか?
私的にはリンチ版悪くなかったなーと改めてリンチ版の評価を高めたぞ。