劇場公開予定だったが、コロナ禍の影響かアマゾンスタジオに購入され配信という運びになったようだ。

お馴染み『シンデレラ』を現代風にアレンジし、ミュージカル化した作品で、映画初主演のカミラ・カベロを主役に、イディナ・メンゼル、ミニー・ドライバー、ピアース・ブロスナンなど配役はなかなか豪華。

 

昨今のおとぎ話は自分の夢も自分の夢に理解あるパートナーも得るというなかなか欲張りな展開。

そして全体に漂う『ハイスクールミュージカル』感。

ジャネット・ジャクソン、マドンナ、クイーンなど80年代のヒット曲カバーも随所に見られる。

歌声は心地良く、やはりイディナ・メンゼルはさすがの歌唱力。

ものすごーくポリコレ臭を感じる作品でもあるけど、これが今の時代なんだねーという感じ。

 

自分はお姫様が王子様と結ばれてめでたしめでたしで終わる物語を読んで育ってきた人間なので、この自分の夢も理解あるパートナーも両方手にすると言うお話に少々息切れを覚える。

いや、勿論今更王子様と結ばれてめでたしめでたしにならない現実くらいは知っている。

シャルル・ペローの童話でさえ『眠れる森の美女』では、王子とめでたく結ばれた眠り姫のその後が、人食い姑に苦しめられるというかなりリアルな現実を描いているのだから、おとぎ話の世界も甘くはない。

でも、自分の夢を叶えることと、パートナーとの両立もまたなかなか過酷な道であることも知っている。

ああ、幸せってなんだろうねー。生きるってしんどいねー。

それでも、女性が夢を語り、夢を追えることを推奨される時代は、ただ王子に依存する人生よりはましかな。

 

いずれにせよ、夢見る時が過ぎた自分には、この映画のような煽りはあまり心に響かなくなってしまった。

それでも、魔法使いのキャラが良かったし、ミュージカルシーンはそれなりに楽しめたし、まあ、それなりにそれなりに楽しめたよ。

なんだこの感想。

 

そういえば、シンデレラのドレスのデザイン。

ダンスパーティーで、他の人が着ていたドレスの豪華さに比べるとちょっと地味な感じをうけてしまう。

また、ダンスパーティーに行くのにドレスアップする際、髪型が変わらないのがなんだか物足りなかった。

ここはやっぱりシンデレラの見せ所だし、「おー!」と思えるような変化が欲しかったなー。

 

あと、王子がめっちゃ口紅塗ってるのが気になった。

いや、男性も化粧する時代ってことなのかもしれないけど、自分は古いタイプの人間なので、ちょっと気持ち悪いなーなんて。

とはいえ時代はジェンダレス。女性の魔法使いを男性が演じる時代だし、そのうちシンデレラも男性が演じる日がくるかもね。