サニー千葉の追悼をこめて。
というか、意外に観てなかったのよね。この作品。まさに柳生十兵衛の原点と言える作品。
1978年の映画だけど、意外に画が古くさくないというか、映像が綺麗だった。
監督は深作欣二。
ネタバレあり
とにかく、キャストが豪華。
特に私の好きな成田三樹夫や原田芳雄が出演しているのが嬉しい♪
原田芳雄は役柄がいまいちだったが、成田三樹夫のあの麻呂っぷりはインパクトがあって良かった。
なにげにものすごく綺麗な人が出てると思ったら大原麗子だった。若い時の大原麗子は格別に美しいなー。
この種の映画には絶対いるな丹波哲郎。
そして真田広之がとにかく若い!
どこか少年っぽさも残る雰囲気で、初々しい。予告編では「フレッシュな新人」なんて言われている。この「フレッシュな新人」ってコピーがなんだかこっぱずかしい。
萬屋錦之介が歌舞伎俳優らしい演技で、なんだか空気を圧倒する。その面構えがどうしても善人に見えないと思ったら、やはり…。
柳生但馬守宗矩と柳生十兵衛三厳は実際確執があった訳でもないと思うのだが、『魔界転生』でも親父殿はちょっと厄介な存在だった。
しかし、130分という長さにも関わらず、意外にあっさり終わってしまった印象。
まだまだこれから大きなクライマックスが!と思ってたので、「え、これで終わり?」と言う物足りなさはあった。
もっと十兵衛が大活躍するのかと思ったら意外に脇役っぽい。
とはいえ、まさか家光が死ぬとは思わなかったからこの結末には驚いたけどね。この物語的にはその後家光の影武者を務めたのは誰だったのだろう。家光は後世幕府組織の基盤を作ったと人物と評価されているが、かなり優秀な人だったんだろうなーなんてことを真面目に考えてしまう。
個人的に良かった見せ場は、やはり成田三樹夫演じる烏丸少将文麿。思わぬ強さを見せて格好よかった。あのおじゃる言葉もクセになる。テレビシリーズにも同じ役で登場するらしいのでちょっと観たい気分。
そして丹波哲郎演じる小笠原玄信斎と十兵衛の勝負。十兵衛はこの時片目を失うのね。『魔界転生』では子供の頃宗矩に太刀を習った際に片目を失う設定で、十兵衛の伝説的には『魔界転生』の設定の方が近い(そもそも隻眼ではなかったという話しもあるが)。
小笠原玄信斎の養子と言う設定で歌舞伎俳優中村歌六演じる役者猿若雪之丞の刺客っぷりもよかった。最初は普通に女性に見えたから、男だったことに驚いた。
小笠原玄信斎と柳生但馬守宗矩の勝負や、最後の宗矩と十兵衛の勝負など、他にも見所はあるが、いかんせんあまりにあっさり方がつくので物足りないと言うか、もうちょっと長く殺陣を見せて欲しかったなー。
実際の真剣勝負と言うのはこのように一瞬なのかもしれないけどね。
柳生一族の陰謀と言うよりは宗矩の陰謀という感じもするが、宗矩の命令で一族も協力していたと考えればそう言えるのだろうか。
『魔界転生』が原作は家光の時代なのに、なぜ映画は家綱の時代にしたのか謎だったけど(明暦の大火をクライマックスにしたかったからかなーと勝手に納得してた)、実は家光の時代だと、思いっきり『柳生一族の陰謀』と被るから避けたのかな?
