ネタばれあり

 

テレビで放映してたから『天気の子』を見てみた。

巷できれいなオカルト(白石監督)と言う評判だったんで、ちょっと気になって。

で、確かに『オカルト』を思い出す部分もある。でも私の見終わった感想はティーンエイジャー版『崖の上のポニョ』だなー。

 

背景や描写はひたすら綺麗で綿密だった。ただ、キャラデザインとキャラ付けがどうしても好きになれないんだなー。

主人公が女性の胸元や、女の子の家に行くのにいちいちどぎまぎしている様が一昔前のラブコメみたいで、ふるーって感じ。若者の純情さを打ち出したかったんだろうけどねー。

単純に言ってしまえば人身御供となる女性を救う為に、法を犯し、東京が水没することも厭わない物語。

その純粋なまでに「好き!」と言うパワーは町を津波で水没させても暴走するポニョのようでもあり、この映画では登場人物の年齢がポニョよりも上の分、暴走っぷりがおとなしくもある。ポニョはそのまっすぐさが爽快でさえあったが、こちらは爽快にまで至らないというのかなー。

とりあえず主人公のそれが愛なのかはわからない。でも、極端なことを言えば愛する者が救われるなら世界が滅んだっていいってお話とも言える。まあ、まだ東京が一部水没する程度で済んでるから、問題提起としては薄いような気もするけどね。

愛する者か、社会かという選択になった時、迷わず愛する者の手をつかむというのが、ある意味若者の特権なのかもしれないが、自分的にはあんまりぴんとこないというかはまらなかった。

やはり拳銃を撃つつもりはなかったかもしれないがお世話になった人に向け、それが愛ゆえの暴走と言われてもどこか受け入れがたい部分があったのかもしれない。多分拳銃というアイテムがあまりに生々しくてファンタジーとして許容することの戸惑いかなー。あと警察がただひたすらに主人公を邪魔する悪役的な描かれ方なのも、あくまで主人公視点の一面だけで終わっている感じで釈然としない。

そこが最後の再会という感動に水を差す原因かもしれないな。

 

家出してネカフェを点々とする主人公が住み込みでオカルト的な現象を取材するというシチュエーションは確かに『オカルト』を思い出す。

途中雷で車が爆発するシーンも、渋谷テロの場面を思い出すし、ある意味きれいな『オカルト』というのは当たっているかも。選択の結果『オカルト』は地獄に帰結するが、こちらはなんとなくいい話しっぽく終わるのは対照的だけど。

 

ところで、主人公の背景が殆どわからないけど、今の若者は家に帰りたくない、ネットカフェ難民となる心理をすんなり理解し、共感出来るのかな? 別の解説を読むと主人公が顔に怪我をしているのは、DVによる父親によるものだという事を示唆しているらしいけど、このあたりはいまいちよくわからなかった。監督があえて主人公の背景を語らないことで普遍性をもたらせたかったようだが、にしても、やっぱり主人公の行動や感情となる背景がわからないと話しに入り込みにくいなーという感じはあるね。

『オカルト』でも江野くんの背景はそれほど語られる訳ではないけど、でも、すごくリアリティがあって彼の人となりからその背景も透けてみえるような説得力があったんだな。この差はなんなんだろう。

 

それと2年の月日が流れてもヒロインの髪型が変わらないのは気になったなー。

いつまでもツインテールで少女に成長がみられないんだなー。

 

とにかくキャラやお話はともかく画的には綺麗なんで、映画館で観れば気持ちいいかもね。

あと、ジプリ同様、アニメーションの飯のシーンは何故か美味しそう。