1942年のミッドウェー海戦は有名ではありますが、有名過ぎてなんとなく知った気になっている海戦のひとつ。

で、例によって実はよく知らないって言うね。

ちなみに1976年公開版は未見です。

今回この映画を見ることによって、簡単な概略はわかった感じですね。

 

とはいえ何しろローランド・エメリッヒ監督ですからねー。

どっちかというとミッドウェー海戦を扱った娯楽活劇的なニュアンスが強いのではないかと予想しておりました。

少なくともクリント・イーストウッド監督の『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』のような見応えあるドラマはあまり期待できないというか、マイケル・ベイ監督の『パールハーバー』よりはましな出来だといいなーという感じで観に行きました。

なんだかんだローランド・エメリッヒの映像の派手さはきらいじゃないですからねー。

 

映画館で映画を観たのは『1917 命をかけた伝令』以来ですよ。約半年ぶりです。

久しぶりなのに138分の長さでドッカンドッカン映像を見続けるのはなかなか疲れます。

 

映画自体はねー、某映画サイトでのユーザーレビューでの評価がやたら低いのですが、まあ、そこまで悪くないというか、戦闘シーンの映像の派手さはやっぱりエメリッヒという感じでしたね。

基本的には、パールハーバーを奇襲した卑怯な日本軍をミッドウェイでやっつけてスッキリ!的なアメリカ映画かなーと思いましたが、いや、基本そういうストーリーだけど、まあ、そこまで単純でもないというか、作り手の意図はともかく、観てる間はやっぱりアメリカ人であろうと日本人であろうと人が死ぬことは辛いというか、フィクションならばそこは割り切れる場合もあるけど、実際にあった海戦と思うと少なからず両者に痛みを覚える映画で、特に日本人である自分としては心中複雑というか、終わってすっきりとはならない映画ですね。

終始こんな恐ろしい戦いを人は何故するのだろうということを思い続けました。

 

一応日本人の俳優を起用しているので目に余る変な描写が少ない部分は評価出来るし(時々日本人じゃない日本人役の俳優もおりましたが)、日本が経済制裁を受けて追い詰められた上で、勝ち目のない大国との戦争に先制攻撃を仕掛ける短期決戦に出たという背景はうっすら描かれていたかなーという所は、完全に日本悪役的には描いていないようにも思います。

ただ、真珠湾攻撃に至る背景をアメリカ、日本、両方の立場から掘り下げた描き方はしていないので、そのあたりは物足りないところです。

 

もしもミッドウェイ海戦で日本が勝利していたら歴史はどう変わっていたのだろうなんてことをちょっと考えさせられる映画です。

 

とはいえ、何故エメリッヒが今ミッドウェイを映画化したのかはよくわからんというか、もしかして、ミッドウェー海戦を映像化してみたかっただけなのかなーという感じも致します。なんで、作品としての重さはあまり感じられず、良くも悪くもエメリッヒだなという感じです。まあ『パールハーバー』よりはましかな。

いずれにせよ監督の意図はわからないけど、やっぱり戦争は怖いなー嫌だなー悲しいなーという思いが深まりました。

 

 

ネタばれ

 

一応メインはエド・スクライン演じるディック・ベスト大尉なんですね。『ゲーム・オブ・スローンズ』のエド・スクラインは美形なイメージでしたが随分イメージ変わります。

戦闘にためらう若い将校を偵察に連れ出そうとして結局事故死させてしまうエピソードが印象的というか、その前の命綱なしで作業に当たっていた父親が、トラックにひかれて死亡したというエピソードが妙に頭に残りました。人間気をつけていてもいなくても、思いがけない時に死ぬというのはなんかあるあるだなーというか。あんま内容に関係ないですけど。

日本の暗号を解読する指揮をとるのが、パトリック・ウィルソン演じるレイトン少佐。

作戦の総指揮にあたるのがウッディ・ハレルソン演じるニミッツ大将。髪があるから最初は気づかなかったですよ。

そしてマクラスキー少佐演じるルーク・エヴァンス。無駄に色気のあるいい男すぎ。

日本本土を初めて空襲したパイロット、ジミー・ドゥーリトル中佐を演じるアーロン・エッカート。彼はその後無事アメリカに戻れたのでしょうか? ちょっと尻切れトンボなエピソードでしたね。

山本五十六を演じる豊川悦司。役作りの為か恰幅よくなってました。最後のナレーションを含めて、彼は暗号を見破られて作戦に失敗ばかりしてる人みたいな印象になってしまいました。五十六さんは仮に生き残ったとしても結局戦犯として処刑される運命だったんですかね。

山口多聞少将を演じる浅野忠信も恰幅良かったです。最後に飛龍と運命を共にするのはちょっと切ないというか、苦しまずに死ねたのかなーなんてことを考えちゃいましたね。実際は駆逐艦「巻雲」に雷撃処分されたもののすぐには沈まなかったようで、その後「飛龍」の雷撃処分を知らなかった機関科部員が米軍によって救助されたようですが、やはり山口多聞少将と加来止男大佐はそのまま亡くなったようですね。

南雲忠一中将演じる國村隼はさすがの存在感。なんか目を奪われる俳優です。

錨をつけて海に沈められるアメリカ兵のエピソードはちょっといやでしたね。あれは実際あったのことなのかしら。

 

まあ、あくまでこの映画はとっかかりというか、これからミッドウェー海戦については個人的にいろいろ調べてみたいと思います。