新三部作完結編です。
まあ、シーズン7の当初から期待はしていない作品ですが、シーズン4の焼き直し感強いシーズン7、これまでのSWの世界観をぶっ壊す試みでファンのひんしゅくをかったシーズン8、そして迷走の果てにJJが強引にまとめあげたシーズン9の結末はいかに!? ネタバレ感想をお読みください!
ネタバレ
こうしてスカイウォーカーの血筋は絶えた。
そして何故かパルパティーンの孫娘がその名を受け継ぐ。
そう、これはまさにシスの因縁のお話だったのです。
正直新シリーズのいきあたりばったり感はすごかった。いや、シーズン4,5,6だってルーク、レイア双子設定や、ダーズベーダー父親設定には行き当たりばったり感はあったけど、あれはシーズン4が続編ありきで作られた訳じゃない事情を考えればわからんでもない部分。
が、今回は最初から三部作として作っているのだから、当然全体像あっての設定かと思いきや、ほとんどがやっぱり行き当たりばったりだっという、この酷さにはあきれかえる。
シーズン8が賛否あったのはわかる。おそらくファンの間では否の方が強かったのだろう。だから、JJが8をまるっとなかったことにして、またもやシーズン6の焼き直しに走ったのも無難な選択だったのかもしれない。だが、そのあまりのブレブレっぷりにはもはや三部作としての形態をなしていないレベルに感じられる。
それでもファンサービスたっぷりの今作はそれなりにファンに評価を得ているようだし、シーズン8の反動でさすがJJ!なんて声も聞こえてくる。私としては、こんなんでいいのか? こんなんで納得なのか? と問いたい気持ちではあるが、感じ方は人それぞれなのだからしょうがない。
ただね、ここまで無茶苦茶やるなら、いっそ開き直ってもっと無茶苦茶やって欲しかったね。そうすればひどいできであってもファンの祭りと割り切って楽しめたと思うよ。
たとえば、この話を結局シスとジェダイの因縁で描くなら、最後の戦いはこれまでのジェダイ霊体総出演でもよかったじゃないの。中途半端に声だけじゃなくてさ。霊体が物理的にフォースをふるまえるなんてひどい設定にしたなら、もうこの際ヨーダとかオビワンとかみんな出てきてレイにフォースで加勢したれや。そこまで徹底したなら、ひどい作品だけど、まあ、楽しかったからいいかーってなるよ。
カイロ・レンも最後までダークサイドに落ちた理由がよくわからんかったわ。ルークにジェダイとして見捨てられたショック? なんで自分の父親を殺してまでダークサイドにつく覚悟を持ちながら、レイアが一言名前を呼んだだけでダークサイドから抜け出せた? そんな簡単なことならレイアがもっと早くレンを立ち直らせることが出来たんじゃないの? 親子の情さえも切り捨てたレンが今更父親に情を取り戻す精神構造が理解出来ないから、ハンの幻覚が現れたところで感動にいたらんわ。
ラスボスがパルパティーンと言うのは、もう、最初からファーストオーダーなんて敵になじめなかった自分からすると、確かにしっくりはくるけど、やっぱり無理矢理感強いね。シーズン8でパルパティーンの二番煎じみたいなスノークが葬られちゃったから、強敵不在のシーズン9としては、こうするしかなかったのかもだけどね。
でもって、レンとレイ、パルパティーンの最後のやりとりはまんま、シーズン6の焼き直し。シーズン7と一緒で、前作より設定を派手に作り替えただけ。もはやデススター並の威力をかねそなえたスターデストロイヤーが大量出現。仲間の危機にゆれるレイ。パルパティーンの火花も艦隊を無力化するまでにパワーアップ。兵器もフォースもパワーインフレ。でもって、またもや救世主のごとく現れるのはランド。シーズン9で唐突に登場しておいしい役だなランド(ハンソロの死を痛む描写とか欲しかったな)。
レンとレイ、敵対していたふたりが共闘してパルパティーンと対決するのは燃える展開としても、あっちゅーまにやられるレン。やっぱりこいつ弱っ! 最後まで弱っ! なんとかパルパティーンをやっつけて命つきるレイを救うあたりでようやくレンの見せ場はあるものの、突然キスするふたりに、これまた違和感。いや、対立するふたりが男女って時点でこういう展開になるんじゃないかと嫌な予感はしてたけどやっぱりそうなるのね。はあ。
言ってもレンは父親を殺してるし、これまでの罪を考えると、生きて幸せになったなんて話は心情的に認められない気もするんだけど、でも、レイの代わりに死ぬっていうのもなんか、やっぱりシーズン6の下手な焼き直し感しか覚えない。シーズン通してあれほど祖父をリスペクトしてたのに、その祖父が一度として霊体で姿を見せないのはなんなん? スカイウォーカー一族存亡の危機だったのにアナキンったら暢気さん。
で、こんだけ意味深にダーズベーダーの影をひっぱっておきながら、レンのダーズベーダーへの思いも昇華することなく、レイへの唐突な恋愛関係?も中途半端なまま、結局彼はなんだったんだと言う思いが強くなる。
自分が何者か見いだせなかったレイが血筋ではなく志としてジェダイという着地点を見つけるのはいいけど、そこでレイを見守るのは、ルークとレイアだけなん?って言うね。無理矢理ルークの育った惑星でふたつの太陽をみせれば、そりゃー往年のファンの心は打つかもわからんけど(ルークの育った家がまだあったことに驚きと、ルークにとっては思い出の地であってもレイアは無関係だからふたりのライトセーバーをそこに埋める意味もわからん)、レイがジェダイとなったのはルーク、レイアのみならず、レンや多くのジェダイたちが背景にあってのことじゃないのかなーと言う気持ちも残るし、やっぱりレイがスカイウォーカーになるのはしっくりこないよ。
そして、血筋にこだわる訳じゃないけど、スカイウォーカーの血筋は実質やっぱり絶えたのはなんだか寂しいよね(この物語が8からずっと血筋からの脱却と言うテーマを描いているのはわかるのだけど)。
この主人公レイに最初から最後までなじめなかったのも痛かったな。確かにきれいで凜々しい女優さんだけど、キャラとして面白くないんだもの。真面目でシリアス過ぎるし。レイアの気の強いお姫様像は実にインパクトあったけど、レイはまるでパドメみたいに優等生すぎちゃって、最初からフォースの才能ばりばりだったし、たいしてフォースの扱いわからない内からレンをたたきのめしちゃってるもんだから、このふたりの因縁の対決も全然レンに強敵感ないから盛り上がらんしね。
主要メンツであるフィンやダメロンも結局、ハンソロやランドーほどの魅力に行き着かず、レイとの三角関係をつくるのかと思いきや、フィンはローズにふらふらしたり、そのローズがシーズン9でまるっと無視され、新たにそれぞれの相手となりそうな女性キャラを登場させながら、そこともくっつく感じでもなく、ひとりはなんだかランドといい感じになってみたり、このあたりの中途半端な恋愛模様もぶれぶれしちゃって、何をやりたいのかさっぱりわからん。そんなぶれぶれっぷりだから、最後にレイ、フィン、ダメロンが三人で抱き合ってもどっちらけモードよ。フィンは結局レイに何を言おうとしたのかわからんし。
でもって、ファンサビースなんだろうけど、チューバッカは唐突にメダルもらったんりね。C-3POやR2-D2などのドロイドたちもただいるだけな感じで、ほとんど魅力なかったし。まあC-3POは一応活躍してたか。
そこかしこにファンサービスがあって、そこにあざとさ満載でもあるけど、でも、ルークがエックスウィングを登場させるところはちょっとぐっときたな。まあ、ずるいっちゃーずるいよねー。そうやって往年のファンのノスタルジーごころをくすぐればいいんだろ的姿勢。
だからさ、なんとなくそれなりにまとめた感はあるけど、やっぱり、これはあくまでSWのパラレルワールドなんだって位置づけに過ぎない作品なんだよねー。
ちなみにエピソード8の設定のまま展開してたらどういう結末になったのかは気になるねー。結局これまでのSWをぶっ壊すだけで終わってしまったのが残念というか、そこからどう新たな世界を構築するつもりだったのか観たかった気がする。
