『グリーンブック』のマハーシャラ・アリがいい感じだったので、助演男優賞を取ったこの作品も観てみました。

アカデミー作品賞発表の際に『ラ・ラ・ランド』と間違えるというハプニングがあった作品ですが、『ラ・ラ・ランド』がいまいちだと思っていた私は、『ラ・ラ・ランド』が作品賞をとらなくて良かったと思いつつも、この作品はこの作品で題材が題材なのでいまいち気が進まずに未見のままだったのです。

 

で、この映画、もし黒人やゲイと言う要素がなかったら果たして作品賞を取ったかな?と言うくらいお話しは特に新鮮味のない純愛ラブストーリーでした。いじめとか、虐待とか、それらはすべて純愛を描く上での要素に過ぎないという印象を受けます。

 

俳優の演技とか、どことなく詩情を感じる演出とか、良い点もあるし別に悪い映画ではないのですが、特別アカデミー賞作品賞にふさわしいほど良い作品という気もしないので、『ラ・ラ・ランド』にしてもこちらの作品にしても、どっちもどっちだったんだなーという気分です。

 

 

ネタばれ

主人公や薬中のシングルマザーに育てられ、そのゲイっぽさ故に(?)いじめの対象にあっている。でも、マハーシャラ・アリ演じる売人に救われる訳ですが、母を狂わす薬を打っているという複雑な事情もあり、救い手であり彼の不孝の元凶でもある訳です。この売人と少年の交流が物語りとどう関わるかと言うとあまり関わらないというか一エピソードに過ぎない感覚を受けました。

おかまと言わせない誇りを持てという売人の教えだけが、自分をいじめる張本人への報復という形で昇華したのだとしたらちょっと悲しいことです。

いや、ボブ・マーリーもどきに報復する様はちょっと溜飲下がるんですけどね。

そして、こんないじめられっこの主人公にまるで『友人の救世主』『マジカル恋人』のように現れるケヴィン。『スタンドバイミー』のように無条件に主人公の理解者として存在するありがたい親友。

そんなケヴィンも力関係の前に彼を殴るという裏切り行為に走る訳ですが、案外すんなり主人公はそれを許す。まあ、それもこれも彼を殴る時のケヴィンの痛みが主人公にもわかったからなんでしょうけど。

でも、あんな母親でありながらも、過ちを受け入れ謝られるとやっぱりすんなり許しちゃうですよね。

さらに皮肉にも彼の不幸の元凶である薬の売人に身を落とす主人公。

大人になってケヴィンと再会した主人公は、一途に彼を思い続けていたこと、その思いを相手が受け入れ結ばれるという救いのあるハッピーエンドではありますが、ケヴィンは結局のところバイセクシャルだったんでしょうかね?

それはそれで良かったとは思うものの、これが不幸な生い立ちの女性が、大人になって昔ちょっとだけ関係を持った初恋の相手と再会して再び結ばれましたという話しだったら殆ど誰も見向きもしなかったんじゃないかってくらい、凡庸なお話しって気がするんですが、そもそも自分はこういう純愛ラブストーリーにさほど興味ないんでしょうね。