ジョージ・オーウェルの原作は未読だが、全体主義や管理社会の恐ろしさを描いたSFディストピアの古典的作品。後にテリー・ギリアム『未来世紀ブラジル』レイ・ブラッドベリ『華氏451』、さらに『リベリオン』と波及している。

映像化に至っても、荒廃した未来世界や、グレーがかった画面などが共通している。

ちなみに原作未読だとよくわからないシーンもちらほら。後で解説読んで理解した。

 

私はこの映画はユーリズミックスのアルバムから入った口なんだけど、映画では彼らの曲は殆ど使用されていない。実際映画を観ると、あのポップな音楽と映像はミスマッチ感がある。

『未来世紀ブラジル』なども救いのない結末だが、どことなくユーモアがあったのに対し、こちらは終始重たい。恐ろしい閉塞感。時折挟まる緑の風景だけが救い。

そういえば日本で初めてヘアーが解禁された映画としても話題になっていた。そのせいか、盛大にヘアーが写っている。だからどうってこともないんだけど。

 

ジョン・ハートがまた相変わらず透明感のある俳優で、この地獄のような世界にそのまま吸い込まれてしまう危うさがあって、拷問シーンでは徐々に精神が崩壊していく様がなんとも痛々しい。

自分が最も恐れているものの前では愛さえも崩壊する。

 

ところでこの映画ってリチャード・バートンの遺作だったのね。(自分にとっては『エクソシスト2』のラモント神父役の俳優と言う認識)

 

この映画はいつの世でも反面教師として心に留めておくべき映画かもね。