夏だからでしょうか。ホラー映画めいております。
『エルム街の悪夢』も今回コメンタリーを観ましたが、いかに資金集めに苦労し、低予算と短い撮影日数で頑張った映画であったかを思い知りました。
それでいてあのクオリティで仕上がったのですから立派です。
そして配給会社であるニュー・ライン・シネマはこの映画の成功がなかったら、後に『ロード・オブ・ザ・リング』も撮られてなかったと思うと感慨深いものがあります。
7作のシリーズとリブート版が作られておりますが、やっぱり一作目は物語の構成がとてもしっかりしていて、よく出来たホラーだと思います。伊達にクレイブン監督が数年温めてきた企画ではありません。
ちなみに、この物語の発想のヒントになった実際のお話で、夢の中で殺されるので寝ないと言った少年が、5日後に眠ってしまいそのまま死んだというのがあって、これはこれで不気味ですね。
ジョニー・デップデビュー作としても有名ですが、今とはまったく別人ですね。もともとミュージシャンで俳優としては素人だった彼が今やすっかりコスプレ俳優ですよ。
ネタバレ
結末は最初はハッピーエンドだったものを、ラストに衝撃性を入れたくて、ナンシーたちの車をフレディが運転するというエンディングもあったようですが、クレイブン監督が反対し、妥協点としてフレディは姿を見せず、母親が殺されるというオチだけになったようです。
クレイブン監督が反対したのは正解というか、ナンシーはフレディを克服したわけだから、本当はハッピーエンドじゃなければおかしいのです。そこに無理矢理衝撃性をねじこむのは三流です。
これだけ構成がしっかりした物語なのでいたずらに衝撃性を求めるあまりに最後でその構成をぶちこわすのはいただけません。
しかし、現実を直視しなかった母親が悪夢に引き込まれるのはぎりぎりセーフとも言える結末でしょう。
結果的にはホラーらしく締まったと言えば締まったと言えるかもしれません。