町の攻防戦は見応えあったけど、所々惜しい感じ。 

一番残念なのは結局ひとりの私怨にみんなが巻き込まれただけみたいな印象を受ける所。 
そもそも7人がデンゼル・ワシントンの元に集う熱さが感じられない。 
彼らが命がけで町を守る動機もいまいちふわっとしてる。 

「だって、おまえらの観たいのはアクションだろう。7人の戦う動機なんて予定調和で大体のところがなんとなくわかりゃーいいんだよ!」って言う乱暴さを感じましたね。

まあ、それが今時って奴なんですかね?

7人それぞれ一応キャラ立ちしてるんだけど、その中ではメキシコ人のバスケスが一番空気だったなー。 7人以外ではテディQも空気だった。

とりあえず、女性の活躍も盛り込みつつ、満遍なくいろんな人種を取りそろえましたと言わんばかりのリベラルな設定だね。

イーサン・ホークもなんか中途半端。E4のハンソロくらいのカタルシスが欲しかったよ。 
クリス・プラットは美味しい役だけどトランプ手品が特技って設定も後半は忘れさられていたような。

少年もどこかで7人と印象的な交流が欲しかったし、それでこそのラストカットじゃない? 

ピーター・サースガードはわかりやすい悪役って感じで悪くなかった。この人どっかで観たことあるなーと思って調べたらちょいちょいいろんな映画に出てはいるのだけど、どれもものすごく強烈に印象的というほどでもないのだが、今回の役柄は印象的だった。


一番テンションあがったのが『荒野の七人』のメインテーマが流れるエンドロール。 
とにかく無性に『荒野の七人』が観たくなったよ。

 

 

ネタばれ

7人と町の人間の信頼関係が築かれる描写が非常に薄い。唯一拳銃の訓練のシーンなどがそれにあたるのだが、イーサン・ホークが銃の腕前を見せた後、「これで今日の訓練はおしまい!」って感じになるのが解せない。そこは町民もぶつけるべき憎しみを自覚して銃を撃つ描写が欲しかった。

で、実戦でいつのまにかそれなりに銃が上手くなっている町民って、描写はぶきすぎじゃない? 7人との心の絆が感じられないから、死んだメンバーの犠牲も感動が薄いしね。

それでも、イーサン・ホークやクリス・プラットの死はちょっとぐっとくるものがあったんだけど、イーサン・ホークはともかく、クリス・プラットがあそこまで命をかけてガトリング砲を破壊する理由がよくわからない。もう少しヒロインとの淡い恋愛描写があればまだ納得なんだけど、そういう所はすごく淡泊なのね。

で、敵とはいえ、最後の慈悲でタバコに火を付けた相手に対して仇で返すのもちょっとひどいかな。ここは彼が瀕死の状態で手品を披露しようとするんだけど、敵がお情けでトランプを1枚引いた札がジョーカーであることをぴたりと当てたのち、実は自分の体に巻き付けていたダイナマイトに火がついていることを上着を脱いで見せるみたいな、なんかそういうのが欲しかった。

デンゼル・ワシントンとピーター・サースガードとの確執もなんとなく唐突感があるというか、その確執のおかげでお話のテーマががらりと変わってしまったような印象さえある。そりゃー、デンゼル・ワシントンは町民の少ない報酬でもやる気になる訳だが、他のメンバーはあの報酬に命をかける価値をこの戦いのどこに見いだしたんだ? デンゼル・ワシントンの復讐に単にのせられただけじゃないのか?って気分になる。

 

7人が最初に町を訪れて用心棒たちと戦うシーンは西部劇らしい緊張感があり悪くなかった。