美大の授業ではじめてエゴン・シーレの絵を観たとき、その荒々しいまでのデッサン力に衝撃を受けたものだ。当時は特徴的な手の描き方やポージングも含めて多少なりとも影響されていた。 
改めて映画でその半生を観ると、結構な「女の敵!」である。実際のシーレもなかなかのイケメンではあるが、映画のシーレはさらにイケメン度があがっている。才能のあるイケメンなんて質が悪いだけ。
過激なエロスを描くだけあって、妹と近親相姦的な臭いがぷんぷんというか、実際そういう疑惑もあるようだし、小児性愛者という疑いもある訳だが、そこは映画ではマイルドに描かれている感じ。どっちかと言えば潔白なシーレ像と言うのかな。
しかし、エーディトとヴァリに対する態度はひどすぎる。本当にひどすぎる。
こういう芸術家の生き様を観ていると自分には絶対まねできないというか、自分って本当に凡庸な人間だと思い知らされる。

彼の最後の言葉が映画では割愛されていたのが残念でならない。アーティストの厳しさを感じる名言なんだけどね。 
 
とにかくクリムトエゴン・シーレが活躍していた時代のウィーンが垣間見られるのはすごく良かった。やっぱり私はドイツ語の響きが好き。