あけましておめでとうございます。
新年一発目の劇場鑑賞がこの映画でございます。
去年からちょいちょいツイッターでツイートされていて、ちょっと興味はあったのですが、退役軍人である盲目の老人が、強盗に入った若者を撃退する話とあっては、「そりゃー、その設定なら、老人の方に感情移入しちゃって、怖さなんて感じないよね」と言う気分で、見たいようなそうでもないような。
リメイク版『死霊のはらわた』がいまいちだったフェデ・アルバレスが監督・脚本と言うのも微妙なような。
でも、評判も悪くなさげだし、やっぱり観に行きました。
設定はなかなか面白いというか、通常考えたらこれって盲目の老人側にとって怖い話だと思うんですよ。『暗くなるまで待って』とか『見えない恐怖』みたいに、これまでの映画なら見えない側が完全な被害者となるべき話。
ところがその見えない老人に追い詰められる強盗犯の視点というのは新しいかなーと思います。
強盗側の若者も、何故強盗しなければならないのかという多少同情するような事情があるあたりは、全く感情移入出来ない訳でもありません。
それでも、やっぱり前半は完全に老人の方がかわいそうで、戦争で失明し、事故で娘を失い、その示談金もまんまと強盗に全額奪われるのは、どんな事情があるにせよ、主人公が強欲過ぎるだろうと感じてしまいます。これで酷い目にあうのは自業自得的な部分はあるよねーっと。
そもそも冒頭の強盗シーンはやっぱり同情の余地を感じないものがありますしね。
もっとも、後半はこの老人の異常な一面が結構引くレベルなんで、老人にも同情出来なくなってきます。
なんでこの映画で一番可愛そうなのはアレックス君ですかねー。
それにしても老人がもっと敏感なのかなーと思ったら意外にそうでもないのが拍子抜けというか、息も止めなければならないほど過敏ということはないというか、廊下で強盗とすれ違っても気付かないとか、結構な物音があったのに反応がなかったりと、まあ、その方がリアリティはあるかもしれないけど、そこは映画だしもっと敏感な方が怖かったように思います。
臭いにも敏感っぽいけど、その設定はあまり活かされてなかったし。
暗闇はむしろ老人にとって有利って言う面白いシーンも意外に短かったしねー。
老人だけだったら若者を撃退出来ないというか、『クジョー』みたいな犬が味方でなければなかなか厳しかったと思います。
この老人演じるスティーヴン・ラングは現在64歳ですが退役軍人で手強い老人という説得力を感じさせる非常によい肉体をしております。
『アバター』にも出演していたようなのですが、あまり印象に残っていなくて、『刑事グラハム』でフレディ・ラウンズを演じていたとあっても、やっぱり印象がなかったのですが、フレディを演じている時のスチールを観てやっと思い出したと言うか、今の方が全然良いです。
若い時素敵でも年をとって残念になる俳優もあれば、彼のように若い時はあまりぱっとしなくても年をとっていい感じになる俳優もいるのですよねー。
なんとなく続編もありそうだし、この役は彼の当たり役になるかもしれませんね。
このネタだけで88分という時間をそれなりにスリリングに見せたという点ではなかなかの佳作でした。
ネタばれ
やっぱり、いくら愛娘を交通事故で失ったとはいえ、その加害者を監禁して妊娠させるのはやり過ぎだし、そのやり方もレイプ以上に不快なものでしたね。
というか、あんなんで本当に妊娠するのでしょうか?
(誰もが指摘してましたが、どうやって監禁したのかというのも謎ですよね。慣れた自宅なら強い老人も屋外ではそうはいかないだろうし。)
一緒に観に行った同僚は「9ヶ月監禁されて解放されるならまあ我慢するかなー」なんて感想を言ってましたが、それは現状を柔軟に受け入れすぎ!
あと、一番良心的であるアレックス君がこのお話で一番かわいそうな立ち位置とは思うのですが、それにしても彼はタフでしたね。この状況でどこまでも片思いの彼女を救おうとするとは恋愛パワー凄すぎです。