伊坂幸太郎の原作は未読だが、井田ヒロトによるコミカライズは既読。
コミックを読んだ時も思ったのだが、映画でも同様の感想を覚える。
と言うのも、鈴木の復讐劇と押し屋の一家、鯨、蝉の殺し屋が各自勝手に行動していて、部分的な対決はあるものの最後まで全員があまり絡むことがないので、ものすごく散漫とした印象を覚えるからだ。
それぞれの人物設定は面白いのだが、見終わった印象は非常に薄い。
そもそも鈴木がほとんど何もしないうちに勝手にまわりで事件が解決されている感じもつまらない。
一般人である鈴木がほんのちょっと社会の裏側に足を踏み込んでしまったお話だが、たいした火傷も負わずに無事帰還というぬるい話。
まるで裏社会の『不思議な国のアリス』だね。
吉岡秀隆の押し屋は目つきに迫力があってよかった。
