若かりし頃、一番好きな映画と問われればこの映画を答えていたほど好きな映画でした。
今はいろいろ心情も変わって一番と言えるかどうかはわかりませんが、でも好きな映画です。
一時は繰り返し録画したビデオを観ていたんですが、完全版のDVDを購入してからは10年以上放置してました。
なんで久しぶりの観賞です。

とにかく、この映画はモリコーネの曲が全力で泣かせにくるので、なんだかわからないけど全編泣かされそうになる映画です。
私はこの映画でこそモリコーネはアカデミー賞を取って然るべきだと思うんですがね(英国アカデミー賞は取っているようですね)。

この映画で好きなところは、子供時代の彼らの仕草や台詞が大人になっても繰り返されるところ。
マックスが靴を磨いたり、時計を見る仕草、ヌードルスをおじさんと呼ぶこと、デボラの「ママが呼んでるわよ」の台詞。そういう細かい描写がよく出来ていると思います。

子供時代の彼らが結ばれる友情も素晴らしく(やってることは犯罪なんですけどね)、だからこそ、最後にヌードルスが全ての真実を知った後回想するシーンは泣けてくるんです。

そうそう、完全版に関しては、個人的には劇場公開版で十分かなーという気も致します。スチールでしか観られなかったシーンが観られたと言う点はよかったんですが、カットされたシーンがそれほど重要かと言われるとそうでもない気も致しますし、ヌードルスが3人のお墓に訪れるシーンなど、ちょっと編集がよろしくない部分もありますしね。
そして、この完全版のDVDはdisc1とdisc2の切れ目がよろしくないという欠点を持っています。

追記
いろいろ調べたら、この完全版229分からさらに追加シーンを加えた251分エクステンデッド版というのがあるんですね。
劇場公開版で十分なんてうそぶいてしまいましたが、やっぱり是非エクステンデッド版を観たいものです。

ここからネタばれ

ヌードルスは最初から最後まで友情を重んじ、その為に破滅の道を歩む気の毒な人物です。
最初の刑務所入りも幼い仲間が殺された報復の代償だし、大人になっても仲間を助けようとしてその罪悪感を背負う一生を送ることになる。
おまけに最愛の女性を最悪の形で傷つけるまるで駄目男だったりもする。
これはそんな男の悲しすぎる物語です。

ラストについて意外に物議を醸していることを知りました。
私は単純に最愛の女性も友情も思い出もすべてを失ったヌードルスにとってこの世はすべてアヘンが見せる幻、浮き世の夢と思うことが唯一の救いなのではないかなーと思います。
言ってしまえば「こりゃーもう笑うっきゃない」って言う心情に近い気が。だからこそ最後のあの笑顔は悲しく切ないものなんですよね。まさに心が壊れた人間の最後の狂気にも似た笑顔です。
何故最後に時間軸を冒頭に戻したのかと言う点では、多分、友人たちを葬った時にアヘンを吸って現実逃避していたヌードルスと、全ての真実を知った晩年のヌードルス心情はリンクしているのだと思います。というか、この悲哀こそがこの物語で語りたかったすべてを現しているんじゃないでしょうかね。

マックスの子供時代を演じるラスティ・ジェイコブズ、結構好きな顔だなーと思ってたんですが、今観るとジェイク・ジレンホールに似ています。
その後、映画では活躍することなく終わってしまったようですね。
ジェームズ・ウッズは好きな俳優ですが、ラスティ・ジェイコブズとはちょっとタイプが違うなーと思います。なんで彼が成長してジェームズ・ウッズになるのはちょっと違和感を感じますね。
私は最初の段階からマックスが実は生きていると確信していたので、ベイカー長官の息子としてラスティ・ジェイコブズが登場した時は、「やっぱり!」と興奮したものでした。

ちなみにヌードルスもあの子役が刑務所に入ってからデ・ニーロに成長するのは一気に老けたなーという印象です。
とはいえ、パッツィにしてもコックアイにしても一目で子役が成長した姿とわかる特長を兼ね備えているあたりは良かったです。

ジェニファー・コネリーエリザベス・マクガヴァンに成長することに不満を感じる人も多いようですが、どこか高慢な雰囲気のあるクールビューティーという点では共通していて私は悪くなかったと思いますよ。まあ、ジェニファー・コネリーがこの頃は輝くばかりの美少女なんで、エリザベス・マクガヴァンの分が悪いのもわかります。
にしても、デボラはいつのまにマックスとそういう関係になったか、何度映画を見直しても謎です。
あと、何故、マックスはわざわざ死をカモフラージュして長官という立場についたのかもよくわからないですね。
とにかくマックスはヌードルスと出会った時から、ヌードルスが介抱泥棒しようとしていた酔っ払いを横からかすめ取ったりとヌードルスを出し抜くことに長けていたんですよね。でもマックスにとってもヌードルスに苦しみの人生を与えたという罪悪感を抱えた人生だったと思うとふたりの友情は実に悲しいものです。