ディレクターズカット版ダリオ・アルジェント版は所有しているのですが、今回はじめて米国劇場公開版(いわゆる北米版?)を鑑賞しました。

この米国劇場公開版が実はロメロの意向に一番そっているという話もありますが、印象としてはディレクターズカット版よりゴブリンの曲が多めで、丁度ダリオ・アルジェント版の中間的な雰囲気ですね。

アルジェント版にはない、頭部プロペラ切断、ロジャーの2回の狙撃、2回のトラック搬送、エレベーターに乗るロジャー、モールでの生活長めバージョン、ピーター復活の曲、拳銃マニアゾンビ、エンディングのまぬけな曲と、ディレクターズカットでの良いシーンがとりあげられているのはいいのですが、不満があるとするならば、巡視艇基地でのローズ大尉とその仲間が唐突に現れる所でしょうか。これはディレクターズカット観てないと違和感を覚えるシーンです。あと、強盗団がトラックをよける描写がないのも淋しいですね。
しかし冗長な印象のあるディレクターズカットにくらべて、テンポよく編集されている部分もあり、ゴブリンの曲も多すぎず、少なすぎずな感じで悪くないです。
特に強盗団侵入の際にお馴染みゾンビのテーマがかかるのは良いですね。
3つのバージョンを観て思うのは、それぞれのバージョンにはそれぞれのバージョンの良さがあるってことで、やっぱり私にはこの一本!とは絞りきれないですね。

にしても、毎度毎度毎度言ってますが、ロジャーの狙撃のシーンは格好よくて身悶えしちゃいますね。はじめて観た時はメンタル面の弱いロジャーにイライラしましたが、年月がたつにつれ段々ロジャーの好感度があがっていきます。
昔も今も本命はピーターですが、でもピーターは確かにカッコイイけど、ドライ過ぎるというか、フランに対してちょっとひどいところもあり、私がフランの立場だったら、妊娠していてただのお荷物でしかない状況で、自分の与り知らない所で男達が何やら勝手に計画していたら、やっぱり不満を感じると思うですよ。
だから、何をしようとしているのか教えて欲しいというのは当然として、それに対してピーターが「俺たちは外にでるが、あんたはその体ではつれていけない」って言うですね。多分、こんなことを直接言われたら私は間違いなくカチンとくるというか、「だから何の為に外に出るのか説明してって言ってるのよ!」とキレると思うんですよ。そういう、ちょっと冷たいところがピーターにはあるなーと思うんです。
(対してフラウがヘリの操縦を習いたいと言ったり、狙撃で援護したり、いわゆるお飾りヒロインのポジションに安住しないあたりはロメロはしっかり女性を描いているなーと思うのです)
ロジャーの方がその点は優しいというか、フランに食べ物を勧めたり、妊娠していることがわかったらピーターが真っ先に堕胎を考えているのに対して医者に診せることを考えてくれてるんですね。

でもね、『ジュラシックワールド』じゃないけど、もし、この四人の中で誰と一緒にいたいか尋ねられたら、真っ先に「この人と一緒にいたい!」ってピーターを指さしますけどね。
それにピーターがロジャーやスティーブンを失った時に見せる仲間思いの部分はやっぱり素敵ですよね。

スティーブンはね、スティーブンでかわいい奴というか、下手くそな狙撃でピーターを助けようとして、逆にがっつり叱られちゃう訳ですが、後にショッピングモールのダクトを発見し、ピーターに褒められて嬉しそうな様子などは「ウイ奴じゃ」って気分です。
でもテレビを消したフラウに対抗してまたテレビをつけるあたりはかなり嫌な奴です。

ところで、毎度素朴な疑問を覚えるのは、ロジャーはなぜほぼ初対面のピーターに一緒に逃げようともちかけのかってことなんです。
確かにサバイバルを生き抜くには男がスティーブンだけでは不安だし、ピーターみたいな頼れる相棒が欲しかったんですかね。