『トランス』再見。
これに関しては2013年に書いた感想をそのままコピペします。
ネタバレしています。

ダニー・ボイル監督らしく、音楽が格好よくてスタイリッシュで、見ている間は退屈はしない。
が、途中までは二転三転する中での伏線がうまいこと言っているのだが、ラストにきて一気に破綻気味。
そもそもロザリオ・ドーソン演じるヒロインがあれほどの七面倒な手順とリスクを冒してまでも、絵を手に入れる動機や伏線がないので、なんとも唐突過ぎる結末だ。
絵を手に入れるために無関係の人間を4人も犠牲にし、無関係の女性を巻き込んだことに一瞬涙したものの、その後のけろりとした立ち直りっぷりといい、絵を手に入れたどや顔といい、とんでもない悪女である。

また、フランクも彼女のために部下を3名もなくしたのに、そこは気にならないのか、どこかノー天気な結末となっている。
不思議なことにこのフランクが悪いやつなのに何故か憎めず、最後は彼が助かることを切に願ってしまった。ヴァンサン・カッセルという俳優がまた魅力的なものだから、完全にジェームズ・マカヴォイから主役の座を奪ってしまっている。
しかし考えれば考えるほど、このふたりがお気楽にくっついてハッピーエンドなんて展開は納得出来るものでもない。

心理的なアプローチを視覚的に見せるというあたりは好みだし、深く考えなければ現実と夢の世界がめまぐるしく交差する展開はテンポがよく面白い。
ただ、少々ひねりすぎという後味だ。