私は羽根好きということもあって、ペガサスとか火の鳥とか、鳥が出てくる映画に弱かったりするのです。
中でも天使が出てくる映画が好きだったりするのだが、それと同じくらい人魚が出てくる映画も好きだったりします。
空に鳥あらば、海に魚ですよ。

ただ、天使が登場する映画は結構あるのですが、人魚が登場する映画は少ないのですよ。
なんで、ついつい、このえらくB級臭漂うこの一本に手を出してしまったのです。

ストーリーはまあまあなんですけどね、なんでしょうか、演出面の問題なのか俳優の問題なのか、全体的に野暮ったいんですよ。
まあ、人魚の描写、そこだけが見所っちゃー見所ですよ。
人魚は人魚でも王子様の為に海の泡になるような健気な人魚姫ではなく、船乗りを歌声で誘惑して殺してしまう怖い人魚です。
そういうのも嫌いじゃないっていうか、ぱっと見は美女だけど、突如怪物に変貌するあたりはいいですね。

人魚って素材を無視したとしても、孤島に遊びに行った男女が、まるでシリアルキラーさながらの男がバラバラ死体を井戸に投げ込んでいる姿を目撃するというのは、十分スリリングな展開なんですが、シチュエーションは怖いのに緊張感をあまり感じないんですよ。
やっぱり登場人物がどっか暢気に感じちゃうんですよね。

相手が銃を持っているのでかなり危険なのはともかく、もうちょっと5人もいるんだから相手を罠にかけるとか対抗策を考えてもよさそうな気がするし、とにかく一刻も早く逃げるべき時に、地下の女性を助け出すことにやけに固執するヒロインとか、すごく悠長に見えるんですよね。
まず、逃げて、そこから助けを呼ぶべきだと思うですがね。
で、闇雲に右往左往している内に仲間がどんどん殺されていく展開は実にまぬけです。

そうそう、この男女5人って言うのが、2人の女友達の一方の元カレとその婚約者、さらに婚約者のボーイフレンドというなんとも微妙な関係で、案の定婚約者が元カノに嫉妬したり、元カレと女友達は間違いを犯したり、元カレは婚約者のボーイフレンドに嫉妬したりと、かなり面倒臭い人間関係も展開しますが、このあたりもストーリーと殆ど関係なかったりします。

この作品で、唯一ちょっと目を引く白鯨のエイハブ船長もどき
って、実は往年のマカロニウエスタンのスターフランコ・ネロだったんですね。
フランコ・ネロが孤島がいかに危険かと長々語り出す場面ではBGMとのちぐはぐ感がまた残念感を漂わせてしまうんです。

調子にのって続編作るかも感満載ですが、どうにもこれっきりな予感しか致しません。