ドラキュラシリーズ8作目にして、『ドラキュラ'72』の続編にあたり、ヘルシングとドラキュラ3度目の対決となります。
『ドラキュラ'72』から2年後という設定ですが、どうやらドラキュラは『ドラキュラ'72』で滅ぼされた直後にいつのまにか復活していた模様。殺しても殺してもへこたれない男です。

『ドラキュラ'72』も現代に蘇ったクラシカルキャラというミスマッチ感が半端なかったんですが、今回はまるでスパイ映画みたいな趣で一瞬「あれ、これドラキュラシリーズじゃなかったっけ? 間違えた?」という不安を感じさせます。
シリーズ末期ともなると作品が実験的というか迷走しているというか。
もっとも異なるジャンルを融合させるというのいう試み自体は面白いと思います。まあ、それが成功しているかどうかは微妙ですけどね。
実際、リーはこの作品を最後にシリーズを見放しドラキュラを引退します。
カッシングは9作目でさらにドラキュラとカンフーを融合させた異色作『ドラゴンvs7人の吸血鬼』にも出演し、このシリーズ幕引きとなる訳ですが、なんていうか、ある意味ハマープロは先を行きすぎた感はありますね。

前回はヘルシングに復讐する為に100年ぶりに蘇ったドラキュラに対して「他に生き甲斐はないのか?」と揶揄しましたが、今回はドラキュラが永遠に生きる自分にうんざりして、人間滅ぼす→食料となる血がなくなる→すなわち吸血鬼も滅びるという甚だ迷惑な自殺計画を企てるというもので、そのためにイギリスの高官や学者を黒魔術教団みたいな組織に取り込み、影で暗躍しつつ、細菌テロをもくろむという、なんだか訳のわからない変化球を投げまくります。

自殺する為に人類全部を滅ぼすという悪役って後にも先にも見たことない気がしますよ。

カッシングは今回額にケガをしてずっとキズ当てを当ててる姿がラブリーです。
ドラキュラに操られている学者の元へいき、彼に平手打ちをくらわすシーンが格好よかったですね。
でも、銀の玉一発だけを作ってドラキュラのアジトに乗り込むのはちょっと無謀ですよね。その一発を外したらどうするつもりだったんだと。
それはともかくリーとカッシングが対話する場面が良かったです。こんな風に対話するシーンって実はあまりなかったですもんね。
吸血鬼がヘルシングの孫娘を狙うという展開は相変わらずで、前作で面識あるふたりのはずですがそのあたりはまったく描かれておりません。

諜報部員の男が結構頑張っておりました。

そういえば、今回は最初から裸の女性を囲んでのサバトで始まるというあからさまなエロサービスが多く、そういう意味では作品の品が損なわれております。

ネタばれ
相変わらずドラキュラは弱点が多くて、今回も「え、そんな弱点で???」という結末です。というか、茨が自分の弱点ってこと知らなかったんですかね? ヘルシングに誘われるままに茨に入り、身動き出来なくなってやられるとは情けない限りです。
なんだか蘇っても蘇っても結局胸に杭打たれて灰になるドラキュラに哀れであると同時に、おかしみさえ感じてきて段々コントに見えてきました。