ハマー・フィルム・プロダクションの怪奇映画なんて古くさくて今時観られないなんて思ってたんですが、前回『吸血鬼ドラキュラ』が悪くなかったんで、リーとカッシング対決に焦点をあてて観てみることにしました。
で、ドラキュラシリーズは9作あるのですが、リーとカッシングが対決しているのは内3本のみ。
1958年の最初の作品から1972年に公開されたこの作品まで14年のブランクを経て対決を果たしたことになるのです。
で、吸血鬼ドラキュラでは一応決着がついたはずのふたりが冒頭からいきなりクライマックス状態です。
どういう流れでそういうことになったのかはこの際問わずにおきましょう。
で、なんやかんやで決着が着き、またしてもやっつけられるドラキュラと命尽きるヘルシング。
え~!
って、いきなり終わってしまいました。
そこから時代は100年後に飛びます。
いやー、まさかハマープロがゴシックホラーからいきなり現代へ飛ぶ展開を見せるとは思ってもみなかったです。
70年代のヒッピーっぽい若者登場に違和感ばりばり。
若者のリーダー演じるクリストファー・ニームがちょっとマルコム・マクダウェルっぽいんですよね。丁度キューブリックの『時計じかけのオレンジ』と公開時期がかぶることもあり、キャラ的にもアレックスと被るし、若者の描写もなんとなく似ているように感じます。
当時の空気って言うんですかね。
だから、『時計じかけのオレンジ』っぽいムードの中にですね、じゃじゃーんとリーのドラキュラが登場するんですよ。こんなミスマッチなことがありますか?
いやいや、現代を生きる吸血鬼という先駆的作品ではあると思うんですよ。私としてはハマープロが70年代の初期に既にそれを行っていたということにびっくりしました。
クリストファー・ニームがなかなか悪の魅力と色気のある吸血鬼を好演してたんですが、ゴシックホラーの空気感と現代が微妙にかみ合っているようなかみ合ってないような不安定さなんですよ。
とにかくこんなミスマッチの中、リーとカッシングがどうやって対決するのかと心配しましたが、彼らをとりまく空気だけは従来通りのゴシックホラーと変わらぬムードで安心しました。
で、ドラキュラが100年もかけて復活した目的がヘルシングの子孫に復讐ってね、結構執念深いタイプだったんですね。
他に生き甲斐はないのでしょうか。
カッシングのヘルシングっぷりは相変わらず素敵でございますよ。
こんな素敵なお爺さまが欲しいですよ。いや、別に恋人でもかまいません。
プライベートで奥様を亡くされたショックで老け込み、当初はヒロインの父親役だったのが祖父になったそうですが、それでも素敵さは変わりません。
孫娘演じるステファニー・ビーチャムはボインボインでございました。
ドラキュラシリーズの中でも異色作として賛否があるようですが、個人的にはやっぱりリーとカッシングはずっとハマープロのゴシックロマンの世界にいて欲しいなーと思います。
ネタバレ
それにしても100年かけて蘇ったのに、今回も呆気なく撃沈で、ちょっとドラキュラが気の毒ですね。あんなわかりやすい罠にあっさり引っかかるあたりが闇の帝王を名乗る割には名折れというか見かけ倒しというか。
大体吸血鬼ってちょっと弱点多過ぎです。
流水でやられる吸血鬼ってはじめてみました。
