スティーヴン・ホーキング博士といえば、アインシュタイン以来の革新的理論物理学者というイメージですが、私は彼のプライベートなことはまったく知らないのです。
タイトルからも察するように、これはホーキングと妻のロマンティックな恋愛映画というイメージがありますね。
実際この映画では彼の物理学者としての偉業については添え物程度にしか語られていません。
それよりも、難病に侵された夫と、献身的に介護する妻の苦労といった日常的な物語がメインで、さらに『チャタレイ夫人の恋人』?みたいな展開を経て、予想外の結末となります。いや、私がホーキング博士のプライベートを全然知らなかったので、予想外だっただけで、この結末は周知の事実ですよね。
博士が介護士を雇うことを拒んだのは何故なんでしょうね。単に経済的問題だったんでしょうか。
ジョナサンが登場した時からうっすらこんな展開が予感され、妻に好意を抱いている男性を手伝いに選ぶホーキングを迂闊とさえ思いました。
ジョナサンに関しても孤独感からホーキング家の手伝いを志願したものの、それって却って孤独の傷口を広げることにはならないのかなーと思ったら、案の定去らざるを得ない状況に陥り、同情さえ覚えたのですが、結局のところ博士も別の看護士に心変わりし、妻もジョナサンと結ばれるという、双方にとってはよかったのかもしれないけど、なんだかなーという感じは致します。
原作が元妻であるジェーン・ホーキングということもあるので、このあたりの博士の心情がわかりにくいのですが、ホーキング視点で語られた文献によると、自分の余命が尽きた際に妻や子供を託せる人物として容認せざるを得なかったようですね。とはいえ妻とジョナサンの仲が深まるのはやはり耐え難くそれ故に最終的には看護士エレンと家を出ざるを得なかったようで、やっぱり映画ではよくわからなかった葛藤があったのだなーっと納得しました。
映画だけだと、ホーキングが安易にエレンに心変わりして、丁度ジョナサンに心移りしていた妻がこれ幸いと離婚に至ったように見えちゃいますもんね。
ちなみに博士はこの2番目の妻となるエレイン・マッソンとは既に離婚しちゃってるんですね。
まあ、伝記ものってどうしてもきれいごとで表面的な話になりがちで、ましてやまだ存命の高名な物理学者の話となるとそこまで生々しい話になり得ないというか、つっこみきれないものは感じます。
それにやっぱりホーキング博士を題材にこういうメロドラマ的な恋愛ドラマはなんか違うかなーという気が致します。
この映画でアカデミー主演男優賞を獲得したエディ・レッドメインですが、確かに筋萎縮性側索硬化症を患うホーキング博士を見事に演じておりました。
