ゾンビ映画で最も傑作と思われる作品はと問われれば『ゾンビ(Dawn of the Dead)』と答えるだろう。
ゾンビ映画で最も観た回数が多い作品はと問われれば『ゾンビ(Dawn of the Dead)』と答えるだろう。
ということで、後にも先にもこれを超える作品に出会ったことがないワタクシですが、これをはじめて観たのは小学校5年生の時でして、もうトラウマですよ、トラウマ。
数多くのホラー映画を観てきた私も、これほどの衝撃を受けたことはございません。
未だにゾンビから逃げる悪夢を時々見るほどですよ。
で、そんなトラウマ映画のくせに、定期的に観たくなる不思議な麻薬映画でもありまして、ゴブリンの音楽でテンションあげあげ、さくっと手短気分の時は【ダリオ・アルジェント監修版】、じっくり腰を据えてわびさびを味わいたいときは【ディレクターズ・カット版】と見分けております。
今回は『呪われたジェシカ』でまったりし過ぎちゃったので、お口直しに【ダリオ・アルジェント監修版】の方でさくっとお楽しみ。
ついでに、伝説の内海賢二&石丸博也吹き替えバージョンで楽しむのもオツでございます。
惑星イオスって何? ピーターとロジャーがベトナムで同じ部隊にいた? 「仲間の弾にも要注意だ」のスティーブンへの嫌みは「みんなで協力して頑張ろう」みたいな台詞に変わっているから、なんだか表情がちぐはぐだし、フラウの堕胎のススメもなかったことになっているし、実にオリジナリティ溢れる作品になっています。
しかし不思議ですね。何度も何度も何度も観ているのにいつも新しい発見があるような気分で観るんですよ。
この映画ってディテールが丁寧っていうか、結構細部がしっかりしていて、そのあたりはリメイク版の「ドーン・オブ・ザ・デッド」の大味感とは対極にあるというか。
それと、俳優が皆熱演というか上手ですよね。
ここよりネタばれチラリズム
ケン・フォリーはいつ観てもカッコイイし、一番頼れる兄貴って感じがするのね。
ゲイラン・ロスも紅一点の中、決して負けてない強さを感じるし、デビッド・エンゲもスコット・H・ライニガーも痛がり演技が最高に上手。あと、ゾンビ化した時の演技も絶品。
ケン・フォリーとスコット・H・ライニガーはSWATの訓練を受けたりしたんですかね。動きとかもそれっぽくて格好いいんです。
ロジャーがスティーブンを制してゾンビを撃ち殺すシーンなんて何度観てもしびれちゃいます。
多分ゾンビについて語り出すととてつもなく長くなるんで、今回はラストについて言及しようかと。
もともと、ピーターとフランも死んでしまうという果てしなく絶望的なエンディングが用意されていたようですが、この映画のラストは奇跡のように絶妙な仕上がりです。
絶望の中の楽観、楽観の先の絶望、こんな微妙なテイストを味合わせてくれるラストはなかなかないですよ。
はっきり言って、妊娠しているフラウにも、燃料が僅かしかないヘリコプターにも、先にあるのは死しか見えないのです。それでも、ピーターには自殺して欲しくなかったし、ちょっと茶目っ気のある顔で楽観しているピーターの顔にはやっぱりほっとするんです。
ちなみに、ピーターが自殺を思いとどまる瞬間、夜が明ける映像が一瞬挿入される【ディレクターズ・カット版】の演出が好きでした。
子供の頃、ゾンビが制圧されないラストがかなり衝撃的でしたが、それでもフラウとピーターがなんとか生き延びてくれることを願わずにはいられませんでしたね。
今でも彼らはなんとか生き延びてくれたものと信じたい気持です。
