以前にも申しましたがワタクシ『エクソシスト』をはじめとする憑きもの映画が結構好きなんですよ。
憑きもの映画ベスト5をあげるなら、『エクソシスト三部作』は勿論、『尼僧ヨアンナ』『汚れなき祈り』あたりがオススメです。
あと、最近では意外にも『ラストエクソシズム』が面白かったです。

言ってしまえば、憑きもの映画は『エクソシスト』で持てる要素すべてが極められているので、その後の作品は殆ど亜流なんですが、最近POVとかモキュメンタリーなどの手法により、また新たな境地を開拓しているように思います。

この『悪魔の存在を証明した男』もモキュメンタリー手法を用いていますが、映画的演出も加えられているのでリアリズムの徹底には至っていません。
しかし、私は『ラストエクソシズム』に続き、結構好みの作品です。

前半、占い師や神父、黒魔術師などの訪問取材するあたりのアプローチが好みですね。
そして、憑きもの映画史上で最も斬新なのは、悪魔払いを悪魔に取り憑かれた主人公自らが行ってしまう点でしょう。このあたりのシーンは凄まじいと共にコントを見ているようで思わず笑ってしまいます。

多少の超常現象はあるものの、殆ど分裂症か薬中の状態にあるようで、俳優のひとり芝居っぷりがとにかく大変そうだなーと言う映画です。

終盤に向かって、展開が『シャイニング』的になり、結末の付け方も憑きもの映画の基本を踏襲しているだけというのが少々残念で、ここでもうひとつ新機軸を打ち出してくれたらかなり傑作だったのになーという惜しい気持になります。

無神論者には罰が当たりますよ、という教訓的な物語に見えてしまうのもちょっと…って感じも致します。

ところで、主人公と娘と同居していた女性は誰なのか最後まで謎でした。

ネタバレ
妻が事故にあうきっかけとなったパーキング用のコインが、最後に再び主人公が正気になるアイテムとして登場するあたりが、まんま『エクソシスト』っぽいなーと思いました。『エクソシスト』でも遺跡から発掘されたメダルが最後までキーワードになってましたからね。
正気に戻った主人公が窓から飛び降りるというのもまんま『エクソシスト』です(原点は『尼僧ヨアンナ』ですけどね)。