『ローズマリーの赤ちゃん』『テナント』そしてこの『反撥』は姉妹作と言ってよいでしょう。
周囲への不信、脅迫概念、孤立、狂気へと駆られる主人公という点では似通っています。

今回はカトリーヌ・ドヌーブ演じる美しいメンヘラが、姉への依存性に加えて、極度の男性恐怖症に駆られて、狂気に陥っていく様を例によって綿密な人物描写によって描き出します。
なもんで、その綿密さに今回も何度か寝入ってしまいましたが、後半からは惹きつけられました。

もう途中から殆どホラー映画のような展開でしたからね。
『テナント』や『水の中のナイフ』のように不穏な空気が流れつつも、そこまで大きな事態にはならないのですが、この作品はかなりやばい状況になっていきます。

そこに至るまでの、腐っていく兎、ひび割れる壁、夜ごと現れる男など、女性の狂気の進行に合わせた演出が良かったです。

少女時代の彼女の写真も、健康的ではなく、家族の中で孤立し、どこか狂気を秘めている感じがして、私にはなんとなく、彼女が少女時代に性的暴行を受けていたのではないかという気が致しました。それが夜ごと彼女を犯す男の姿だったのではないかなーっと。
明らかに心を病んでいる女性なのに、その美しさ故に男達が近寄っていく。ある種の性的な魅力があるというのも、過去に性的暴行を受けた女性の特徴かなーなんて思います。

カトリーヌ・ドヌーヴがとにかく美しく、神経質で、脆い女性の狂気を見事に演じていました。