おらといっしょに ぱらいそさ いくだ!

ということで、諸星大二郎作品の中でも最もインパクトの大きい『生命の木』の映画化とあって、ずっと気になっていたのですが、やっと観られました。

ヒロインの藤澤恵麻が若い頃の紺野美沙子と菊池桃子にちょっと似てる気がするんですよね。
原作は主人公は一応男性でしたが、可愛い女性の方がやっぱりアイキャッチがあるんですかね。

以下ネタばれ。

ほぼ原作に忠実に作っているんですが、オリジナル要素である神隠しが、お話とかみ合ってないんですよ。
何故、七歳の子供を神隠しをする必要があるのか?
その子供たちを現代に返してどうするつもりなのか?
何故神隠しにあった新吉が今になって現れたり消えたりするのか?
意味不明過ぎるのです。

しかも、善次はじゅすへるを救うイエスなので、あだんの子である新吉をぱらいそに連れて行く意味がわからんのですよ。

原作通りでは一本の映画にするのは難しかったのでしょうが、中途半端な神隠しのエピソードは話を混乱させるだけで余計でしたね。
その代わり「けるびん」の骨のエピソードは割愛しなくても良かったような。

あと、原作通りに説明しすぎかなーっと。こういうところはもうちょっとうまく脚色して欲しいところです。

下手をするととても荒唐無稽なお話なので、いかにリアルに描くかというところが勝負とは思うのですが、洞窟の描写などもいかにもセットセットしてるのが残念でした。

個人的にはこれ、モキュメンタリーみたいなPOVで作って欲しかったですね。
あるテレビ番組の取材的な感じでなぞを探っていくみたいな展開だとよかったです。
そうなると、ぐっとリアリティが増して、最後の驚愕の展開もよりインパクトがあったと思います。

ただ、善次にいざなわれ、じゅすへるの子孫がぱらいそに向かうシーンは原作通りのビジュアルをちゃんと再現していて凄まじかったです。
個人的には善次の風貌は漫画のように和製イエスっぽい顔がよかったですね。
あと、台詞も細かいことですが、「ぱらいそさ いくだ!」「ぱらいそさ いく(ん)だ!」になっていて微妙にニュアンスが違うなーと思いました。ここはやっぱり「いくだ!」と力強く言って欲しかったですね。

「三じゅわん さま」については原作にない三人のヨハネという説明が加わっているところはよかったです。

作品のテイストはからりとした横溝正史という感じでしたね。