ダリオ・アルジェントの動物三部作(『歓びの毒牙』『わたしは目撃者』)の中でも私はこの作品が結構好きなんですよね。
アルジェントベスト4に入れても良いかなーってくらいに。
なんで、ふとまた観たくなって再見しました。
尚犯人等の核心には触れませんが、多少ネタバレします。
動物三部作は正当派ジャッロという感じだが、この頃はストーリーの破綻が少なく、物語としての体裁を保っているので、普通に面白いです。
まず、動的な激しいバンド演奏シーンと静的な生々しい心臓の映像と鼓動が交互に繰り返されるOPがカッコイイ!(と共に偏執的でもある)。
ディオ(神様)と呼ばれる男が登場する際にはハレルヤが流れ、一度も事件を解決したことのないおかまの私立探偵が登場するなど、アルジェント作品にしてはユーモアも多いです。
殺人シーンもスマートで上品ですね。
アルジェント作品はいかに殺人シーンに趣向を凝らすかという方向にどんどん発展して行くのですが、これくらいの抑制が利いていた方が私は好みにです。
ナイフが垂直に滑り落ちていくシーンなんてそれだけでざわっときましたしね。
シチュエーションも優れていて、無人の公園における壁越しの殺人や、空き部屋のタンスに身を潜めるなど、怖い演出はさすがです。
緊張感を煽る細かいカットなどアルジェント節も光ります。
棺桶屋の会話など舞台設定のアイディアも面白いですね。
ラストカットなどは美しくもあり、印象深いです。
網膜に映る4匹の蠅の影という仕掛けも面白く、このアイディア一択で出来上がったような映画という気もしなくもありません。
ところで現実に網膜に焼き付いた映像を取り出すことなど可能なのでしょうか?
以下の記事では、専門家は可能としているようですが…。
殺人被害者の網膜に殺人犯が焼き付く可能性あると専門家指摘
実際、捜査で実用化されることはないのでしょうが、ここだけちょっとSFの趣があって面白かったです。
主人公がアルジェントをイケメンにした感じでしたね~。
犯人はかなり早い段階で予想がつくし、動機に関してもなんだか強引な感じはありますが、4匹の蠅が意味するところといい、なかなか面白く観られます。