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​3歳3ヶ月自閉症スペクトラム、知的障害息子
臨床心理士、公認心理士、保育士資格持ち母ちゃんが息子のおうち療育をしています。
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お子さんが望ましくない行動をした時に、どんな風に対応したら良いのか悩むと思います。



色々な方法がありますし、その時の状況やお子さんによって対応方法は変わる、というのは大前提ですが、今回はたくさんの方法の中の一つ、私がオススメだなと感じる方法をお伝えします。




行動規制は必要な時のみ


問題行動をとった時「ダメ!」と注意をしたり、行動を規制する方法があります。

ある程度強制力のある制止が必要な場面はありますので、危険な行動をとった場合や、必要な場合は使用します。



ですが、日常的な場面で「それやめて欲しいな」「これが癖になると嫌だな」と思うような行動には、強めの制止はあまり適しません。



叱られたり制止されても何がダメなのか学習できにくいからです。



知的や発達の障害のある子はとくに伝わりにくく、「よく分からないけど止められた。不快」という体験のみ残ります。

そうすると、支援者や家族へ不信感を覚えてしまい、興味関心がさらに狭まり、より安全な自分の世界へと引きこもってしまいます。




穏やかにスルーしよう


オススメのやり方は「穏やかなスルー」です。



これを使用する条件としては信頼関係が築けていることが大前提です。

いつもにこやかに対応してくれる大好きな支援者が、自分がこの行動をとった時はなんだか反応が薄いな•••

と、本人がなんとなく居心地の悪さや「あれ?」と感じられることが大切です。

信頼関係が築けていないのにこれをしても、ただの感じの悪い人になります泣き笑い




実際のケースから


内容は変えてお伝えしますが、私が学生時代の時の話です。

この頃はまだ修行中ですので、ケース担当をしても必ず指導教官に指導を受けていました。



ある未就園児のお子さんを担当している時に、その子が私の胸を触ったことがありました。

私はその子をこちょこちょして、他の遊びに誘導しました。



その時の指導教官の指導として


胸を触るとこちょこちょされて楽しいことが起こった、と子どもが学習してしまうので対応としては良くない。
叱責、もよくない。例え叱責であっても、「構ってもらえている」という学習をしてしまう可能性があるから。
胸を触ると担当スタッフから反応が何も返ってこない、となったほうが、子どもにとってはいつもと違う状況になり「あれ?」と考えるきっかけができる。
知的に重たい子であっても、なんとなくこちらの態度が違うことを感じられる場合は多いから、「反応しない」というのをうまく使えるようになる必要がある。


といったものでした。



この指導はとても印象に残っています。




反応しない、の注意点



​•子どもの存在を無視するようなことは決してしない。問題となる行動に対して「反応しない」のが大切

•子どもの問題行動の動機が感覚の問題(かゆいとか暑いとか)などの場合には使用しない。

•「反応しない」と決めたら途中で中途半端に反応したりせず、徹底する。


主に子どもの問題行動が「注意の獲得」の場合に有効な方法です。



ただ、明確に「注意を引きたい」という思いがなくても、私が先ほどあげた学生時代のケースのように、「この行動をとったら楽しいことが起こった」となって行動の頻度が上がることもあるので、注意の獲得が明確な動機でなくても、反応しないことで対応したほうが良い場合もあります。





こちらの記事で少しふれましたが、息子も最近このやり方でしんどい行動を減らすことができました。



手づかみ食べで私に食材名を言ってもらわないと口に入れられない、とこだわってしまっていた→食材名を言わず、気づかないふりでスルーし続けた→この時に「早く食べて!」などの声かけもしない→1人で食べられるようになった


もちろん、食べている時などは楽しい雰囲気で話しかけたりして食事を楽しみます。

「問題となる行動にのみ」「反応しない」という対応をします。



問題行動の悪化


「反応しない」という対応の難しいところで、一時的に問題行動が増加することもあります。



反応が返ってこないので「もっともっとアピールしなきゃ!」となるんですね。



この時に根負けすると問題行動はさらに強くなることが多いです。



そのため


​•「反応しない」という対応が適切なのか、始める前にきちんと検討する(専門家に相談できれば一番良い)

•すると決めたら家族などにも伝えて、問題行動に関しては対応をなるべく統一する

•問題行動が出ていない時のスキンシップを増やしたり、一緒に遊んだり、コミュニケーションをより意識する


などが大切です。



おわりに


今日お伝えしたやり方はとても有名なやり方ですが、なんでもかんでも多用するのではなく、まずはお子さんをしっかり観察し、問題行動の動機を検討することが大切です。



そして、普段のコミュニケーションをより意識することで効果が発揮されます。