『もしもし…。元気ですか?』
「はい!」
誰だろうーーー。
『今、電話してても良いですか?』
「良いですよ…」
とは言ったモノの、誰かは判断つかない。
少し声がかすれて年配の様に思うけれど~~。
『あのね、昨日【津】へ行って来たのだよ。寂しい寂しいと電話が来るからさ』
やっと、声の主が解った。
『家内と二人で行くのもね…。ついでだから、女子の【Hさん】を誘ったら、【Nさん】も誘ってというからさ、
ついでに男の山にも声がけをしたら、津駅前で待つというので新宮を4人で出かけたのさ』
「あら、良いわね。みんな退屈しているから喜んだでしょう。津の【警察の彼】の処へね」
『あのT(元警察)はね、今迄よく新宮へ遊びに来ていたのだけれど、脳梗塞で3回程倒れてね、もう車に乗れなくなってしまったし、余り身体も自由に出来ない様なんだよ。だから、大勢で見舞に行ったら喜ぶと思ってさ誘ったのだよ』
「あら、良い事したわね。みんな楽しめて賑やかだったでしょ」
『ところがね【津駅前】で待ってくれていたYを見て、びっくりして腰抜かすとこだった。何とも言えなかったよ』
「どうしたの?何があったの…」
『彼ね【パーキンソン病】といったかな?何か?解らないけれど、俺の車に一人で乗れないのだよ。歩くのも大変で、だから皆でやっこらせで載せたんだよ。気の毒でみていられなかったよ』
「小柄で、明るい生徒だった人でしょ?可哀そうにね。涙がでるわ」
『大変な病気だよね。それからね皆で昼食をして、Tの処へ向かう事にしたのだよ』
「でも、みんな喜んだでしょ。あなた良い事してあげたわね」
『そうかね。そんなもんかね』
「そうそう、この間の話の事だけれど、S君入院しのだって。私ね貴方がお家の近くまでお見舞いに行ったのに、【来るな!】と何故?拒否したのか?凄く気にしていたのよ。大阪までお見舞いに行った人に対して…来るな!は無いでしょ。と思っていたのだけれど、どうも【皮膚がん】なんだって聞いて、納得したの。だから会いたくなかったのよね。貴男にだけじゃなくて…誰にも会うのは嫌だったのよね。そういう事よ」
『××病じゃないの?俺はそう思うな?』
「貴男は今何と言ったの?」
『僕はね、性病じゃないかと思う!』
「あの人、真面目な人ですよ。皮膚病だから彼方此方に見えるから嫌だったのよ」
彼は急に怒りだした。
『あんたね、男がかれこれ60年もの間、何もしなくて≪〇貞≫で居ると思うの?真面目不真面目は関係ない事だよ。』
「そうなの?解った。この先で貴男に会う機会があったら詳しく聴かせてね」
『今の女の子は…みんな早くから遊ぶらしいね。』
「そうなの?私ね悪いけれど…そういう話する事無いのよ。ただね、今回クラスメートがこの歳になっていき違いがあって気まずくならない様に説明しただけの事よ。だから今回貴男に彼の事伝えられて良かった!ただそれだけの事。そして貴男が友達の為に≪車で仲間を誘ってあげた事≫はとても喜ばしい事と感心しただけの事よ、病気で待ってる人も、お見舞いに行こうという人の気持ちにも感激したのだけれど…。私怒られてポカーン!」
『そんなに僕が車に乗せて見舞に誘った事は、良い事?』
「あなた以外に誰が気を使ってくれる?新宮~津往復、運転してさ、食事を…。普通の人はそうは出来ないよ。出来る力はあってもしない人も居るよ。そういう人の心を私は人よりも早く察知する仕事です。だから感激もするのです。クラスの皆さんに出会ったら宜しくお伝えくださいね。ご苦労様でした」
彼は
「韓国の人。とても感情の起伏が激しい。悪気は無いけれど…自分の【沽券】に係わると思うと何事にも食って掛かると言う事は私には解ってるが、この歳迄自分を庇うのは…可笑しい(笑)。」
彼は【財=土】は、凄くある。それには自慢と自信満々。次に…。
【金=名誉】が欲しくても、土地柄というか封建的な感じが残る【市】では、それは身に付きがたい。
そこにコンプレックスがあるのだと解釈している。
以前にも説明したが、財が貯まれば次は名誉を欲するのが人間、特に男性の特権である。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
長話の電話を切って…娘がいる部屋へ行った。
「彼の車は凄い高級車だよ。楽しかっただろうよね」
『お母さん、何言ってるの(怒)。池袋で車を暴走させて、母親と子どもを死亡させた90歳の被告の裁判で、検察は禁錮7年を求刑した事故あったでしょ。車云々じゃないのよ、もう友達も「免許証返納」しても良い年じゃないの?事故を起こしてからでは遅いのよ』
「そうだったわね。歳を忘れて話を聞いて居たけど、お母さんは何も言えないし、言わないわ」
思い切り今日は二人に怒られた~~。
「今日は、私にとって何の日?だったのかな?」
娘からの「クリームサンド」の差し入れです。