「宵々山コンサート'79」その続きです。
私のステレオセットで再生したレコード盤、その音とは…。
高音オンパレード! 低音が認識出来ないものでした。😳 あれまあ、これどないしましょ…。
音質調整もありますが、さわってみても、クラシック、ジャズ、ポップetc…。
どれもあんまり効果は確認出来ませんでした。
とりあえず、このセットに付属している録音機能でMP3スティックに録音をしまして、パソコンに取り込み、そこでイコライザーで調整してみることにしました。
レコード→MP3→WAVと変更して、イコライザーソフト 「サウンド・エンジン」で、まずは高音のゲインを下げ、低音を上げました。
バッチリ👌 修正完了。ついでに音量も調整しました。
円山音楽堂のサウンド、今、やっと再現されました。 やれやれ…。この間、約1週間かかりました。
ライブ録音ですから、観客の息遣いや拍手、赤ちゃんの鳴き声… さまざまなものまで、にぎやかに蘇って来ました。
観客も、舞台の演奏者と一体となって進んでいきました。
クレイジーキャッツの演奏も見事でした。
そうこうして、映画評論家の淀川長治さんの登場です。
淀川長治さんは、テレビ番組「日曜洋画劇場」の解説を長く担当されていました。映画が大好きな方で、次週の宣伝をしたあとは「それでは次週もご期待ください。『さよなら、さよなら、さよなら。』」って言われるのが常でした。
円山音楽堂に淀川長治さんが登場し、「はい、みなさんこんばんは!」と、第一声を発しられただけで割れんばかりな拍手!
続けて、「祇園さん(八阪神社)が何をおまつりになっておられるか、ご存知ですか?」って会場にいるみんなに問いかけられました。
(無言…)
祇園祭りは知っているつもりでしたが、祀られている神様の名前を会場にいる誰もが答えられませんでした。
「祇園さんに祀られている神さまはスサノウのミコト。スサノウのミコトですから、あの草をバァーと切っていかれた方ですから鉾がありますね。これでひとつ賢くなりました。」
って、 やられた!
「ここにおられるみなさんは、祇園さんにお詣りになって、お札をお持ちになって、ちょっとついでにここに寄ってやろう、という方たちばかりかと思っていましたら大間違いで、北海道から九州から沖縄から、たくさんたくさんみえてる。そんなバカがたくさん見えているのかなと…。」
(会場大爆笑)
「と、思いましたけど、うそ、まあ〜皆さんねぇ、私が失礼な事を言っても喜んでくださる、なんていい人達ばかりなんでしょう。」
(爆笑の渦)
と、いった具合で、淀川長治さんの屈託の無いお話しにぐんぐんと引き込まれていきます。
「さあ、映画の話しをしなくっちゃいけない。」
「私は映画が好きです。好きで、好きで、大好きです。いっぱい観てきました。」
「この前、アメリカに行って来ました。」
「何しに行ってきたかと思われますか?」
って、一瞬ここで、てっきりまた難しい質問をされるのかな?って身構えて聞いていますと…。
「映画を観に行って来たんですね、バカですね。」
会場、大爆笑と、すごいと言う思いが交錯する中…。
「2週間の間に、にじゅうひちはっぽん、さんじゅっぽんほどみてきました。」会場、すごいなぁというため息…。
「もちろんタダですよ!」
会場、大爆笑!
と言った具合に、淀川長治さんの話術に引き込まれていくのが伝わって来ました。
あの軽妙な関西弁、映画の話しになりますと…。
「ここで詳しくお話しすると夜があけますから。」
って…。(大爆笑!)
その当時公開されていた映画「スーパーマン」や「エイリアン」「チャンプ」などなど、「あ〜なって、こうなって。」などなど。
みぶり手振りでお話しされているようのが目に浮かぶようでした。
「映画のタイトルバック、あれはどういう順番に出てくるか、ご存知ですか?」
(無言)
「あれは、ギャラの高いもん順に出て来ます。」
(大爆笑)
「映画も、そう言うような楽しみも無いこともありません。」
と、目から鱗が落ちるような関係者しか知らない事も楽しくお話しになられていました。
「私も30年ほど前、嫌だいやだと言っているのに映画に出た事があるんです。奈良で撮影された映画で、『八月十五夜の茶屋』と言う映画で米屋の役で出たんですね、3分間。」
「その時、ちょっとしか、たくさん出なくてもいいから、と言われて。3分で8万円くれると言うから。うははは。」
「マーロンブランドやグリーンフォードは9,000万円。えらい違いですね。」
(大爆笑)
当時、大学出の初任給が一万円だったそうです。
「私がアメリカにいっている間に、6月11日にジョンウェンが亡くなりました。」
と言う事で、ジョンウェンのお話しをされました。
ジョンウェンの下積みだった頃のお話し。
映画を捨てずに、売れなくても続けていったお話し。
「駅馬車」で成功したお話し。
最後に撮影した「ラストシューティスト」のお話しと続いて行きます。
尽きることはありませんでしたが、最後にみっつのスローガンのお話しをされました。
「私は、みっつのスローガンを持っとります。」
それは…
「苦労、来い!」。
ふたつめは「他人歓迎」「他人と言う言葉を持つな!」 それから「私はかつて、嫌いな人に一人も会ったことがない」。「あんないやらしい人でも好き」
「と言うわけで皆んな好きです。」
「どうかみなさん、この言葉を噛み締められまして、私のお話しを…」拍手と歓声で会場が割れんばかりとなり、淀川長治さんの声が聞き取れなくなるなか、「さよなら、さよなら、さよなら。」と、降壇されて行きました。
続きます