大好きなシャーデーの"Jezebel"(ジェゼベル)という曲があります。
マイナーで少し暗いけれどとても綺麗な曲です。
この曲は、色んな意味でマイナー(minor)で、曲の調自体もminorなのですが、Sadeの他のヒット曲"Kiss of Life"や"Smooth Operator"に比べ比較的知る人ぞ知るきょくであるという意味でもマイナーです。
そんな曲の意味を翻訳してみました
ちなみに、"Jezebel"というのは、聖書に出てくるイスラエルの王アハブの邪悪な妻のイゼベルの事らしく、そこから転じたのか、恥知らずな女性や悪女の事を指す事もあるのだとか。
ジェゼベル
ジェゼベルは生まれつき裕福ではなかった。
多分私達の誰よりも恵まれていなかっただろう。
でも歩き始めた頃には人を魅了する術を得ていた。
彼女の美貌を持ってすれば楽勝の事
ジェゼベル、何て美しいんだろう
新しい服を着て、お姫様のように見える。
どうやって手に入れた?と訊いても
本当に知りたい?と返される
彼女は成功に向かっている途中に見えるかも知れないけど
単なる夢以上のものがある
彼女は靴下と靴を履いて
失う物は何も無い、それだけの価値があったと言った
頂点に達すれば太陽の輝きが待っている
全ての冬は戦いだった、私は自分のものを手にしたいだけだと
ジェゼベル、ジェゼベル
どこから来たのか否定しようともしない
彼女の誇りと鴉色の瞳を見ればわかること
もっといい生き方を示そうとしても
彼女は貴方は何も解っていないと言うだろう
そして彼女が瞬きする頃には彼女はもう聞いていない事に気づくだろう
頂点に達すれば太陽の輝きが待っている
全ての冬は戦いだった、私は自分のものを手にしたいだけだと
この曲は、不幸な境遇に生まれた美しい娼婦が、その美貌で欲しいものを全て手に入れていく姿を描いているように私は捉えました。
でも、何か病的な雰囲気と寂しさが残る曲だと思います。
歌の中で"You can see it in her pride and raven in her eyes"という表現があります。
このravenというのは、大型のワタリガラスの事。一般的に不吉な予兆の鳥とされています。
raven hairというと、黒髪の事で、所謂鴉の濡れ羽色の事ですが、ここでいうraven in her eyesは、彼女の瞳の中の鴉、という事になり、彼女の黒い瞳という意味と同時に、ravenというのは、何かを貪るという意味の動詞でもあるので、彼女が何かに飢えている事の隠喩かと思われます。
Jezebelという言葉の悪女的な意味と、貪るように欲しいものを手にしていく姿が、寂しい曲調と相まっていい雰囲気を出しています。
良かったら聴いてみて下さい。
絢乃でした~