モーニングに連載というのは知っていたのですが、マンガではなかなか読む気がしなかった作品ですね。「宇宙兄弟」は。
なぜ今ひとつ読む気になれなかったかというと「きのう何食べた?」という作品が登場してから、モーニングという雑誌自体に手を触れることがなくなったことが大きかったです。お金を出して買う雑誌なのに、こんな作品は読みたくないなあという動機が強かったです。
もう一つ動機を挙げるとすれば、Dreams Come ture的な物語には、魅力を感じないからなのです。苦難を乗り越えて、人が成長していくといういわゆるビルドゥングスロマン(教養小説)は、それこそ巷にあふれているわけで、さらにもう一つの物語に手を出そうという気にはなれないものです。
ですから、「宇宙兄弟」も当初は視聴リストには含めていませんでした。しかし、不思議なことに、アニメで見てみると妙に心惹かれるのです。本当に奇妙な話です。
いろいろ理由があるのでしょうが、思い当たるものとすれば、OPとEDが作品に非常にうまく適合していることを挙げることができます。スキマスイッチの「ユリーカ」、それにアンジェラアキの「告白」が、作品にきちんとはまっているので、個人的には苦手な個人の成長物語でも、比較的見やすいのだろうと思います。
それから、「宇宙兄弟」の元の作品のもっている「語り口のうまさ」を挙げることができるでしょう。ムッタの身に降りかかる様々なプレッシャー、緊張が、本人の意思によって徐々に解決されていくところが、見所の一つだと思うのです。もちろん、宇宙への強いあこがれがベースになっていることは言うまでもありません。しかし、会社を辞めた社会的には中途半端な状態、夢を追いかけるという面では、弟に先を越されているという兄としての焦り、自分の日器用な生き方に対する後悔の念、これらを宇宙への希望によって乗り越えていくのは、やはり見ていて気持ちの良いものですね。これは、原作者の罠にかかってしまったなあと、しみじみ思います。