ブラッド・バード作品ランキング1位

アカデミー賞長編アニメーション賞受賞作品。
ディズニーやピクサーでは 脚本と監督を両方一人でやってしまう監督は少なく
それをこなしてしまうブラッド・バード監督は 日本人から見ればアメリカの宮崎駿といったところではなかろうか。
つまり彼の作品は作家性を堪能しやすいのだ。

バード監督は14歳で初めてのアニメを完成させた超エリートで 本作でもセンスの光る テンポの良い展開、スリリングなカメラワークで飽きさせない。無駄のない完成された映画である。

またDVDにはバード監督による副音声の作品解説が収録されており、彼のこだわりを知ることができる。
一例を挙げれば ヒッチコック監督へのオマージュやアニメ映画が軽視されることへの不満などエリート然とした論理的で雄弁な部分が垣間見れて面白い。

ディズニーのアニメと言えば まず動物を動かすことから始まるものであるが 本作はとことん人間の動きを描いている。
実は ピクサーが初めて人間を主役に作ったフルCGアニメが本作だ。人間をCGで描こうとすると ついリアルさにこだわり気持ち悪い絵を作ってしまいがちらしい。しかし本作では 思い切ってデフォルメされた人間を描くことにしたようだ。悪く言えば粘土人形のような可愛らしい登場人物たちになったが、 初代トイストーリーの時のような すさまじい人間のキモさに比べれば全然悪くない。むしろ人間の作り方の方向性は この作品で決まったのではないだろうか。
そのような製作裏話はDVDの特典として見ることができる。CGで作る前に一度手書きで描くアニメーターが結構いるという裏話もあって、当時はまだ過渡期であることを象徴していると思った。

また動き全体としては、実写では撮れないカメラワークや物理現象をてんこ盛りにし、アニメの優位性を生かしきった作品として仕上げている。

物足りないと感じたところも列挙してみる。
・海から顔を出した人間に、水を滴らせることができてない
・海を渡る船の後ろに、波紋が描く航跡を描くことができてない
・ジャングルの中を飛行機が飛んでいるのに、植物が全く切り刻まれない

これらは当時の技術では、まだ描けなかったものだと思われるが、現在のCGアニメでは当たり前に描写されているかもしれない。インクレディブルの続編で確認してみよう。



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