保谷の小学校の時に担任の先生とクラスの友達と遠足に行った。頂上付近の休憩所で休んでいると、大声で入ってくる男たちがいた。
彼らはステッキを振り回して「お前ら邪魔だ、どけ~、場所を開けろ!」と騒ぎ始めた。
ヘンテコな奴が来たなと思った。しかし私はこれは先生がやっつけてくれるに違いないと思った。
先生は柔道二段で、いつも「オレは今までケンカで負けなし」と自慢していて、俺たちはよく殴られていたから。
しかし期待の目で先生を見ると、先生は自分の子供を抱えて隅でじっとしていた。戦うかなと思っても全くその気配は無い。
それを見て、横にいた友達も「先生、全然ダメじゃん。やっぱりこんな時は芦原ケンカ十段しか頼れないよな」と言った。
当時、我々の間ではマンガの「空手バカ一代」が大人気で、その主人公のケンカ十段芦原英幸は憧れの的だったのだ。
芦原師範なら「そのステッキかっこいいね。それでオレを突いてみてよ」と挑発するに違いないと思ったから。
そのたった五年後にその芦原先生から松山でケンカ空手を学ぶことになるのだから、人生は面白いものです(笑)