I さんとのお別れは、先週月曜日だった。もともと仏教に関心をお持ちの方で、手動瞑想を生活の中に取り入れることに成功した、数少ない患者さんの一人です(このブログの中で、2回にわたって、Iさんの気づきを紹介)。先日も、「最近は、自分の無意識の傾向が見えるので、迷路でもがくことがなくなった。考えずに行動できるようになったのがいいのかなあ。」と、余計な心配や後悔をすることなく、今ここ、に集中して仕事をこなせるようになっていることが窺われました。そして、お別れにあたって、

 

「先生には、仏教の話をいろいろしていただいて、とても自分には役に立ったと思います。これからも、仏教の勉強は続けたいと思ってます。何か、お勧めの本ありますか?」と訊かれて、お勧めしたのが、以下の4冊です。

 

『怒らないこと』 アルボムッレ・スマナサーラ著(サンガ新書)

『無常の見方』  アルボムッレ・スマナサーラ著(サンガ新書)

『この人を見よ』 (ブッダ・ゴータマの生涯)増谷文雄著(講談社文庫)

『仏教百話』  増谷文雄著(ちくま文庫)               

 

<若い頃から仏教の本はいろいろ読んだけど、難しくて、言葉では理解できても、なんかよくわかんない、と常々思っていたけど、これらの本を読んだ時、仏教の本質である、無常とか、苦とか、無我とか、怒りとか、それらの意味がスッと腑に落ちたんだよね。それで、どれも2、3回は読み返してます。Iさんがこれを読んだら、「先生が言ってたことは、みんなこの本の受け売りじゃないか。これを傍らにおいておけば、診察なんて受ける必要もない。」と思うかもしれない。

 初期仏教(=原始仏教)は、宗教ではなく、哲学、心理学、だと言われてますしね。悩みの解決は、何かに頼ったり、何かを信じたりするのではなく、自分で見つけなさい、だから、ちょっと厳しいけどね。でも、I さんには合ってると思うよ。私は、この商売やってるので、精神療法に関する本は、いろいろ読んで、いろいろ試してみたけれど、仏教本が最も役に立ったと思ってます。何しろ、人の悩み苦しみを解決するための、具体的方法が書かれているからね・・・>と。

 

 I さんは、「読んでみます」といって、いつものビジネス手帳を取り出し、メモしていった。他の患者さんの多くは、本の表紙をスマホで写真に撮っていきます。でも、こういうところが I さんらしいと思う。そう言う私も、最初にスマホを使った患者さんに出会うまでは、私が代わりにメモって渡していたけれど、最近は、<あなた、スマホ持ってないの?>と訊くようになってます。