私のクリニックに通院している患者さんに、「私の知り合いを、ここに紹介したいと思ってるんですが・・・」と言われることがあります。現在は、<申し訳ないけど、2年前から新患の患者さんを診てないんですよ>とお断りしていますが、2年までは別の断り方をしていました。

 

 <精神科の場合は、ちょっと特別だから、その人との良い関係を維持したいと思っているのなら、紹介しない方がいいと思いますよ。あなたがこのクリニックに通院して良くなったからといって、知り合いの方も必ず良くなるとは限らないから。もし良くならなかったときには負担感じちゃいますよ。それに、自分と相性がいいからと言って、その人と私の相性がいいかどうかは分かりませんよ。精神科では、身内の方(親兄弟など)を一緒に診ないというのは普通のことなんですが、知り合いの紹介も、特別の事情がない限り、診ないことにしているんです。もっとも、待合室でバッタリ知り合いに会う、というのは仕方がないことだけど>と言って断っていました。

 

 他の理由としては、精神科の診察室では、“何を話しても、ここだけの話”というのが原則なんですが、医者も患者も、身内や知人の情報(事情)を知ることで、その原則を維持することが難しくなる場合があるからです。

 

注:“何を話しても、ここだけの話”とは、過去ログ『信頼は最高の贈り物』とも関連しているかもしれません。

 

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余談 : ちょっと意味は違いますが、うちの患者さんには<歯医者さんなんかも、知り合いの方を紹介しない方がいいと思いますよ。紹介してあげたはいいけれど、「あの歯医者ダメ。入れ歯が全然合わないわ」とさんざん文句を言われたという話をよく聞きます。入れ歯なんかは、歯医者さんの腕ばかりでなく、“顎の骨や歯肉の状態”で、上手くいくいかないが決まるということもあるそうだから>と付け加えていました。“善意が仇となる”には注意したいものです。

 

もうひとつ余談 : 私のクリニックは、2年前から新患の患者さんは受け付けていませんが、電話での新患予約が入ります。「現在新患の受付はいたしておりません・・・」とお伝えしても納得してくれない場合は、「先生も年取りましたので・・・」と伝えると、だいたいは納得してくれます。『“おじいち・・”、いや(失礼)、・・お年ということですね』と言って察してくれた方もいましたけれど。