前回のブログの続きです。

 デプロメールは(ルボックスも同じ)、日本で最初に発売されたSSRIという抗うつ剤です。『SSRIで性格が変わる』というNHKの特集番組が、かつてあったと記憶しています。私自身もSSRIを最初に使い始めた時、患者さんの性格が変わったように見えて、驚かされました。うつ病や不安障害に罹っていない健常者が服用しても、こだわりが小さくなったり、怒りっぽさが弱まったりします。しかし、SSRIの服用をやめると、変わったように見えていた性格は、元に戻ってしまいます。「こういう性格の方が楽だから、副作用が無ければ一生飲んでも構いません」と言った患者さんもいました。

 デプロメールが発売されてから18年が経過しています。私の診ている患者さんの中には、15年以上服用しているケースもあります。徐々に減量して、少量投与にはなっていますが、治療者側も本人も、服用を中止するか続けるかは迷うところです。私の治療経験においても<あのまま服用を続けていれば、こんなことにはならなくて済んだかもしれない>という苦い経験と、<5年間、全く薬は飲んでなかったけれど、大きな問題はなかったんだ>という経験の両方があります。デプロメールの長期連用による副作用で特に困ったという経験はありません。

 世間では、『抗うつ剤も抗不安薬と同様に、長期的に服用し続けることはやめるべきだ』というようなことを言う人がいますが、服用を続けている当事者や治療者からすれば、余計なお世話です。クスリを飲まなくても現在の生活レベルが維持されるのならば、やめた方がいいに決まっています。「再発したとき、いったい誰が責任取ってくれるの」と言った患者さんもいました。現在通院中の患者さんの中には、①デプロメールをやめてみている人、②これからやめてみようとしている人、③やめることを考えないでこのまま飲み続ける人、などがいます。クスリをやめることを目標にするケースなのか、予防的投与を続けるべきケースなのかは、個別的に、総合的な判断をしなければならない手動瞑想によって①と②の割合が増えることを、私は期待しています。前回のブログに書いたY子さんの場合、現在は②ですが将来的に①になるのか③になるのかは今のところ分かりません。

 

 次回のブログでは、③のケース(パニック障害)を紹介します。過去ログ精神科医は自分を幸せだと思っているであげたY子さん(うつ病)も③に相当します。この患者さんは信仰心が厚く、既に悟っているような方なので、性格を変える必要もなく、私が手動瞑想を勧める理由はありません。