Y子さん、70歳、初診:平成24年8月、性格神経症(抑うつ神経症)
幼少期に父母離婚、5人兄弟の自分一人だけが父に引き取られた。「新しい母にいじめられた、妹と差別された」という思いは今も引きずっているという。
30歳代、子育て中も、聴覚過敏、閉所恐怖症傾向、過敏性腸症候群など見られていた。
55歳までは金融機関に勤務、退職後1年間は家にいたが、夫と家にいるのが息苦しくて、その後の3年間は嘱託で働いていた。
平成21年7月(62歳)抑うつ気分、不安、焦燥感と共に、「私の人生はつまらないものだった。私の子育てが悪いために、息子をあんな子にしてしまった」と考え込み、早朝覚醒、下痢が止まらない、などの症状も出現したため、○○クリニックを受診した。一日当たりの処方は、デプロメール(25)2錠、ソラナックス(0.4)2錠、デパス(0.5)1錠、で症状は軽快。平成24年7月まで通院を継続していた。しかし、「クスリを止めたい」という意思表示をしたところ、『薬を飲まないで一生苦しんで暮らすのか・・・あなたのために無駄な時間を費やされた』と言われ転院を決意した。
平成24年8月、当クリニック初診。薬を飲んでいれば、生活に支障はなく、コーラスのサークルにも参加することも含めて、週4日は外出しているという。本人の意思を尊重してクスリを漸減。平成29年7月現在、デプロメール(25)1錠、ソラナックス(0.4)1錠、デパス(0.25)0.5錠(不眠時)。この5年間、生活に支障が出るほどのうつ状態は見られなかったものの、何か事あるごとに(夫や息子との口論など)抑うつ気分、入眠困難、不安、焦燥感などの症状の動揺が見られた。寝床に入って寝付けないと、「私の子育てが悪いために、息子をあんな子にしてしまった」「私の人生は失敗だった」・・・といった後悔や将来に対する不安を反芻するのが常であった。しかし、転院してきた頃のように、無理をしてでもクスリを減らしたいとは思わなくなっている。<この程度の量の薬なら、上手くつきあっていくのもあり>と私も思わなくもない。5年間を振り返ってみると、デプロメール(25)2錠を飲んでいるときの方が、反芻思考の程度が軽かった。前医もそれが分かっていたのではないか。『あなたのために無駄な時間を費やされた』はチョットまずい表現だと思うが。
平成28年11月、呼吸瞑想開始。平成29年5月、手動瞑想に切り替えた。
寝床における呼吸瞑想は、リラクゼーション効果となって(瞑想にはならなかった)寝つきがよくなった。手動瞑想になってからは、1日10分間を2回、夕方と寝る前にやった。7月に入って、「先月より今月の方が気分的に良い、気持ちが少し楽になっている。いつまでも引きずらなくなっている」と変わり始めた。8月には、「以前よりきもちがいい。今まであれこれ考えていたことが、しょうがない、そういうことどうでもいいと思えるし、グズグズ考えなくなった。今日も一日無事にイライラせずに終わったと思える。寝るときも、私はどうしてこんな人と結婚したのか、などと考えなくなった。遠慮してたことを言うようにした」さらに、「私は、相手を(夫と息子)自分の支配下におこうとしていた(と気づいた)」「この人は死んでも変わんない。私がいろいろ工夫しても、考えても変わらない」と語る。
今回の大きな気づきと共に、元来の心配性と反芻思考がどこまで改善されているか(性格変化が起きているか)今後が楽しみである。手動瞑想がデプロメールの代わりになってくれれば、今度は私の方が、クスリを切ることにチャレンジしたい。(もちろん本人の了解を得てのことだが)
『性格神経症』という用語については*手動瞑想は性格を変えるスピードを上げる*
という過去ログを参照ください。