7日目の夜、

飴屋の主人が女の後をつけると、墓地に入り姿を消した。

女は幽霊で、身重のまま死んだため、子供を育てるのに飴を買いに来ていたのであった。

飴屋はこの子を引き取り僧に育て上げたと云う。

女が入ったのは何処の墓地か?

 

 

これは、落語『幽霊飴』の噺である。

 

あの世とこの世の境目、六道之辻。

 

 

この地に店を構える「みなとや幽霊子育飴本舗」では、

「幽霊子育飴」を販売している。

 

この飴には、幽霊飴伝説が伝承されている。

 

慶長4年、江村氏が葬送の地の鳥辺山に妻を葬った。

 

数日後、

墓所より赤子の泣き声がするので掘り返してみると、

土中に妻が出産したと思われる子供がいた。

 

妻は子を育てるために幽霊となって、

六道の辻の飴屋に通い、

乳代わりの飴で子を育て凌いだのだった。

 

その子は育ちやがて高僧となった。

 

この飴はいつしか「幽霊子育飴」と呼ばれる様になり、

薬飴ともされた。

 

落語『幽霊飴』では、

墓所を高台寺とする事で「子を大事」の洒落でオチをつけた。

 

「幽霊子育飴」は、麦芽による米飴。

 

飴色になるまで煮詰めて板状に固め、

木槌で割った昔ながらの懐かしい形と味わいである。