狂歌師としても知られた「二鐘亭半山(ニショウテイハンザン)」
こと江戸の幕臣・木室卯雲(ボウウン)で、
天明元年に刊行の見聞録『見た京物語』は、
半山が普請方として1年半、
京都に赴任した折に京の文人らと交友し、
見聞きしたものを箇条書きに記した見聞録である。
「京に多きもの、寺、女、雪踏(セッタ=雪駄)直し」などと、
京都の生活・文化の断面を切り取り、
江戸と比較する辛口の京都論と云ったものである。
当時、
江戸では京都の見聞記が相次いで出版され、
滝沢馬琴や司馬江漢らも執筆している。