芸舞妓の芸能の中心は日本舞踊で、各花街には特定の流派が決められており、それぞれの師匠の下で厳しい稽古に明け暮れる。身に付けた伎芸は、お座敷で披露される他、「春のをどり」などの舞台で一般公開されている。「春のをどり」とは3月から5月にかけて、各花街で催される恒例の舞踊公演で、会場は各花街の歌舞練場などである。期間中はお茶屋の軒下に花街の紋入りの提灯が掛けられ、花街は華やいだ雰囲気に包まれる。踊の振り付けは、それぞれの流派の家元や幹部が担当する。ほとんどが新作で、当年の話題などをテーマに据えて、古都の風物詩を展開する内容が多い。上七軒の「北野をどり」(3/25~4/7)を振り付けるのは花柳流。物語性のある舞踊劇が特徴で、芸達者な芸舞妓による洗練された味わいが魅力。明治5年に始まった祇園甲部の「都をどり」(4/4~30)は、初回より京舞井上流が創作・振付けの全てを担当する。「置歌」から始まり第8景の総踊りまでの8部構成で、品格あるハンナリした舞である。

 

 

宮川町の「【46】京おどり」(4/初旬~中旬)は、

 

 

【43】若柳流の振付で昭和25年に始まった。華麗な演出が組み込まれていて、特にレビュー風の総踊りは圧巻である。

 

 

先斗町の「鴨川をどり」(5/1~24)は、【44】尾上流。京情緒と江戸の粋が舞台に溶け合い、初回は祇園甲部と同じく、舞踊の会の先駆けとなった。五花街の中で祇園東のみが、11月初旬に舞踊の会を催す。「祇園をどり」の名で愛され藤間流の振付けで、江戸前の雰囲気が魅力である。「祇園東小唄」の総踊りは、錦秋の如く美しい。又、秋季にも各花街が実力を発揮する発表会が催される。

 

 

祇園甲部の「【45】温習会」、宮川町の「みずゑ会」、

 

 

先斗町の「【47】水明会」、

 

 

上七軒の「【48】寿会」などがあり、「春のをどり」の華やかさとは一味違う鍛錬した芸が披露される。五花街総出の「都の賑い 京都五花街合同伝統芸能特別公演」も見応え充分な舞踊会となっている。