京都の花街は、長い歴史の中で京文化の一翼を担い、その伝統伎芸を今日まで伝えて来た。

16世紀後半、わが国初の官許の花街となった島原には、揚屋建築の【41】、置屋の【42】が残り、大門と柳の木が往時の姿を伝える。

現在、祇園甲部・宮川町・先斗町・上七軒・祇園東の5つの花街を総称して「京都五花街」と云う。

伝統としきたりを重んじる花街には固有の様々な年中行事があるが、その中でも春と秋に定期的に開かれる舞踊の会が有名である。

祇園甲部の京舞井上流をはじめ、宮川町の【43】流、先斗町の【44】流、上七軒の花柳流、祇園東の藤間流と、それぞれに邦舞各流の師匠が付いて、春秋の舞踊会の振り付けも担当する。

舞踊会の名称は祇園甲部が春に「都をどり」秋に「【45】」、宮川町は「【46】」と「みずゑ会」、先斗町は「鴨川をどり」と「【47】」、上七軒は「北野をどり」と「【48】」で、祇園東は春は無く秋に「祇園をどり」を催している。

各花街の芸舞妓たちが腕を磨いた伎芸を披露する華やかな舞台は、観光客にも人気がある。花街の行事としては、新年を迎えて芸舞妓が一堂に会して精進を誓う【49】をはじめ、日頃世話になっている師匠やお茶屋、得意先などに挨拶回りをする8/1の【50】、12/13の「事始め」などが広く知られている。