生活を保証された能楽界であるが、
観世を筆頭に宝生・金春・金剛の大和猿楽四座
と新たに創流した喜多流の四座一流は、
江戸期を通じて安泰に過ごす様になる。
この間に田楽や大和猿楽以外の
一座は次々に淘汰されていった。
明治維新で幕府の庇護を失った
能楽界は最大の危機を迎えるが、
能役者たちの自助努力と
新興財閥などの新たなスポンサーを得て再生した。
現在ある能楽シテ方5流のうち、
観世・宝生・金春・喜多の4流の宗家(家元)
は揃って東京に本拠を構える。
京都に宗家が在るのは【45】金剛流だけで、
地元の他東京・大阪など全国各地で舞台活動を展開している。
大和猿楽四座の血を引く坂戸金剛家は、
昭和11年に後継者がいったん途絶えるが、
江戸期から分家格だった
京都金剛家が翌年から金剛宗家を継承して、
今に至っている。