深草の直違橋(スジカイバシ)を少し北へ、
学校法人・聖母女学院本館が本町通からもよく見える。
陸軍第十六師団司令部庁舎は、
日露戦争が終わり戦勝の余韻が残る明治41年、
軍備拡充の一環として建設された。
この指令本部の周辺には、
衛戍(エイジュ)病院(現・京都医療センター)や
歩兵・砲兵連隊関係の建物と
練兵場(現・龍谷大学深草キャンパス)が建ち、
兵員や軍需物資輸送の為の
幹線道路(現・師団街道)が南北に走っていた。
司令部庁舎はレンガ造・銅板葺の2階建構造で、
設計には陸軍省営繕部があたった。
正面玄関の2本の長い柱は
イオニア式(上部のヒツジの角状の渦巻きが特徴)で、
外壁から露出させたピラスター構造となっている。
内部装飾も手が込んでおり、
師団長室の暖炉は大理石製である。
昭和24年に学校法人が国から払い下げを受けた時、
建物は全体的に黒く塗装されていたと云う。