こうして、京都の家々では、お盆を迎える事になる。京都では、13日から家々に「おしょらいさん」をお迎えすると、16日の昼までの4日間、団子や野菜、乾物、湯葉、ご飯、漬物などで様々な献立の精進料理を作り、仏壇にお供えする。この「おしょらいさんのお膳」の為に、一定の決まった献立が古い家には伝わっている。

例えば13日はお迎え団子、昼は小芋の落ちことインゲン豆の炊いたん、ササゲのおひたし、高野豆腐、奈良漬、ご飯。15日の朝はハスの葉に包んだ白蒸、最後の16日は朝早くに

 

 

【47】アラメ を炊き、その湯がき汁は門口に撒く事になっている。

そうする事で精霊が、この世に未練を残す事無く、冥土に帰り着けるのだと云う。お盆の期間中、こうしたお供え膳の決まり事を代々受け継いでいる京都の家は少なくない。

「おしょらいさん」を迎える「迎え鐘」があれば、見送る為の「送り鐘」もあり、8/16、

 

 

 

【48】矢田寺(中京・寺町三条上ル)では、お盆に帰って来た先祖の霊を送る為に鐘を撞く人々が終日絶える事がない。

これを六道珍皇寺や千本閻魔堂の「迎え鐘」に対して「送り鐘」と呼んでいる。

この矢田寺は、矢田地蔵で知られる奈良・矢田寺の別院で元は五条坊門にあったが、その後転々とし、戦国期以降は現在地にある。

人々に代って地獄で苦しみを受けると云う、代受苦地蔵(ダイジュクジゾウ)を本尊とする。

又、六道珍皇寺に近い六波羅蜜寺では、六道まいり・五条坂陶器まつりの期間中である8/8~10、「精霊迎えの万灯会」が行われる。

これは数多くの灯明を「大」の形に点火して献灯奉納を行うものである。

そして16日には「精霊送りの万灯会」として、五山の送り火と同時刻に暗い本堂に「大」の字を描く16個の灯明が揺らめき、精霊を見送る儀式が営まれる。