東山が「六道まいり」で賑わう8/7~10と日を同じくして、「陶器まつり」が行われるのは、場所も近い【44】五条坂一帯である。

五条坂と云えば、かつては京式の登り窯が並んで陶工たちが活躍し、陶磁器商が集まる京焼・清水焼の一大生産・販売拠点であった。

登り窯による煙害により、工房が山科の清水焼団地や宇治の炭山工芸村に移転したが、現在も陶磁器を商う伝統を受け継ぐ。


ここで開催される陶器市は全国最大規模を誇り、京の夏の風物詩となっている。五条坂陶器まつりは、大正9年、五条坂の陶磁器工房などが六道まいりや五条坂にある大谷本廟(ホンビョウ・西大谷)参りの人出に合せて、参拝の土産用に陶磁器の露店を出した事に始まった。

 

 

昭和24年、五条坂にある【45】若宮八幡宮社に陶祖神を祀り、今では陶器神社として知られる。従って五条坂陶器まつりは、一般の陶器市とは違い、若宮八幡宮社の祭礼行事である。

 

 

8/8には神社から陶器神輿も繰り出して、4日間の陶器まつりを盛り上げる。お盆の墓参りとして、京の夏を象徴する風景となっているのは「【46】東大谷万灯会」である。

8/14~16、京都市内を見渡せる東大谷の広大な墓地に、「万灯会」と「東本願寺」の字が書かれた約1万個の提灯が献灯され、東山の斜面をろうそくの優しい灯が埋め尽くす。

涼しくなった夜間に、その万灯提灯の明かりを頼りに、多くの人々が墓参に訪れる。昭和36年に始まった。

東大谷は東本願寺の飛地境内地であり、正しくは「大谷祖廟」と云々、浄土真宗の開祖・親鸞の墳墓の地である。一方、西大谷は西本願寺の廟所で、こちらは「大谷本廟」と云々五条坂にある。