一般に新しい仕事などに着手する事を事始めと云うが、

京都では12/13を【46】事始めとして、

この日から正月の準備に取り掛かる習わしがある。

 

言わば、

1年の区切りとして迎春の心持ちになる日である。

 

商家の本家のもとには分家筋が、

また習い事の師匠のもとには弟子たちが、

1年の恩義への感謝の気持ちを表し、

新年を迎えるにあたっての挨拶に回る。

 

花街でも芸舞妓たちが、

芸事の師匠などのもとに挨拶に伺う。

 

祇園甲部では、

京舞【47】井上流の井上八千代・家元宅へ

芸舞妓たちが次々と訪れる。

 

稽古場に「玉椿」の軸が掛けられ、

緋毛氈(ヒモウセン)を敷いた段飾りには、

門弟から納められた鏡餅がずらりと並べられ、

すでに正月気分が満ちている。

 

芸舞妓一人一人が、

家元の前に進み出て「おめでとうさんどす」

と深々と頭を下げる。

 

家元からは「おきばりやっしゃ」

と励ましの声がかけられて、

ご祝儀の【48】舞扇が手渡される。

 

祇園甲部の事始めは師走の風物詩ともなっている。