◆磐長姫(イワナガヒメ)とは?
◆磐長姫(イワナガヒメ)とは?神話や家系図、祭神とする神社などイワナガヒメ(磐長姫)は、コノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)の姉上。姉妹で嫁ぎに行ったら自分だけ追い返されてしまって、その後どうなったのか?〇寿命と良縁をつなぐ女神、磐長姫(イワナガヒメ)とは?磐長姫(イワナガヒメ)は、日本神話に登場する神の内の1柱。妹(コノハナサクヤヒメ)の美しさに比べ、イワナガヒメの容姿は、醜かったとされる。一方で、長い時を経ても変わらぬ姿を残す岩のように、命の永続性を司っているとも伝わる。〇磐長姫は【延命長寿】&【岩石】を象徴する神。磐長姫の名前にある「磐」の字は、大岩を表すのと、「常磐(トキワ)」の意味も持つ。「常磐」は、冬の厳寒でも葉の色が変わらぬ常磐木(トキワギ)を指し、婚礼衣装にも縁起の良い柄として採用される。又、別に「苔牟須売神(コケムスヒメ)」と云う名を持ち、長寿を祝う我国の国歌「君が代」は、「苔のむすまで」という歌詞で締めくくられ、この歌詞は磐長姫がモチーフとの説もある。かように、長命を象徴した延命長寿の神として、更に、縁結び・縁切りのご利益を同時に持つとしても知られ、全国の神社に祀られている。〇イワナガヒメの神話エピソード【神々に寿命ができたきっかけに】磐長姫は神話で、「コノハナサクヤヒメ」の姉として描かれており、コノハナサクヤヒメは美形の女神だが、一方「イワナガヒメ」の容姿は醜かったとされている。ある日、コノハナサクヤヒメは薩摩半島の岬で、天つ神「瓊々杵尊(ニニギノミコト)」と出会う。コノハナサクヤヒメに一目惚れしたニニギは結婚を申し込む、これを聞いた姉妹の父・オオヤマツミは喜び、妹・コノハナサクヤヒメと共に姉・イワナガヒメもニニギのもとへと嫁がせた。しかしニニギは、イワナガヒメの事は受け入れず、送り返してしまう。しかしながら、姉妹そろってニニギのもとへ嫁がせたのは理由があった。コノハナサクヤヒメを嫁がせたのは「木の花が咲くような繁栄を得られるように」、イワナガヒメを嫁がせたのは「命が岩のように永遠に続くように」との願いがあった。しかしイワナガヒメを送り返したため、ニニギとその子孫の命は桜が散る様な短いものとなる。この時以来、神々にも私達同様に寿命が与えられる事となった。 この様な「永遠の命と死を扱う話」は、「バナナ型神話」と云々、「石(不変・不老不死の象徴)」と「バナナ(子孫繁栄するが寿命があるものの象徴)」を神に出されて、「バナナ」を選ぶ事で死ぬ運命になる…と云う、東南アジアなどでは語り継がれて来た構造の神話である。◆イワナガヒメの家系~コノハナサクヤヒメの姉で 大国主命の祖先イワナガヒメは、日本神話に於いて、神々と深い繋がりを持つ神であり、その家系図を辿る事で、位置づけ・役割がより明確になる。イワナガヒメは、山の神・大山津見神(オオヤマツミノカミ)の娘で、妹には、ニニギとの婚姻で有名な木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)がいる。又、イワナガヒメの夫は諸説あるが、有力説の一つは、八島士奴美神(ヤシマジヌミノカミ)があげられる。ヤシマジヌミは、須佐之男命(スサノオノミコト)と櫛名田比売(クシナダヒメ)の間に生まれた神である。イワナガヒメはヤシマジヌミと結婚した後に、布波能母遅久奴須奴神(フハノモヂクヌスヌノカミ)を産んでいる。そしてフハノモヂクヌスヌの子孫には、神話に数多く登場する大国主命(オオクニヌシノミコト)がいる。オオクニヌシノミコトは、日本神話・国造りで中心的活躍をする神である。つまりオオクニヌシ様の祖先は、イワナガヒメであり、オオクニヌシは地上での国づくりで活躍し、6柱の女神と結婚して多くの子宝に恵まれた神である。◆イワナガヒメの別名について【岩長比売・岩永姫命】他イワナガヒメには「石長比売」など、多くの別名がある。日本神話に登場する神々は、語られる書物や地域、祀られている神社によって呼び名・表記が変化している事が少なくない。 磐長姫(イワナガヒメ)or岩長比売 石長比売(イワナガヒメ) 古事記での表記 木花知流比売(コノハナチルヒメ) 八島士奴美神(ヤシマジヌミノカミ)との婚姻エピソードの古事記での表記 岩永姫命(イワナガヒメノミコト) 神社によっては使用される別称 苔牟須売神(コケムスヒメ) 同上 岩長姫命(イワナガヒメノミコト) 同上 岩長比売命(イワナガヒメノミコト) 同上 岩長毘売神(イワナガヒメノカミ) 同上 磐長姫大神(イワナガヒメノオオカミ) 同上 ◆コノハナサクヤヒメや龍神などイワナガヒメと他の神様との関係〇龍神との関係~イワナガヒメの「ナガ」が表す意味は?イワナガヒメは、龍神とも関係がある。イワナガヒメと縁のある宮崎県・銀鏡神社(シロミジンジャ)の近くには、龍房山があり、イワナガヒメの伝説が残る。 ニニギに送り返されたイワナガヒメは、オオヤマツミから貰った鏡に自分の姿を写してみる、そこには、龍のような醜い自分の姿が写っていた。嘆き悲しんだイワナガヒメは、その鏡を遠くへ投げ捨て、投げた鏡は龍房山の頂上にある大木に引っかかり、鏡は夜でも昼の様に輝きを放つようになったと云う。この地はもと白見(シロミ)村と呼ばれ、のちに伝説に因み銀鏡(シロミ)村になったとされる。又、イワナガヒメの「ナガ」という名前には、〇「長寿」を表す一方「ナガ」は、インドネシア語で龍(ナーガ)を表しているという説も。京都・貴船神社には、イワナガヒメと共に高龗神(タカオカミノカミ)or闇龗神(クラオカミノカミ)と呼ばれる龍神が祀られている。〇大山津見神との関係~娘たちの幸せを願う父の思い大山津見神(オオヤマツミノカミ)はイワナガヒメの父であり、「山の神」や「酒造の神」として知られている。先ほどの神話エピソードでオオヤマツミは、求婚されてもいないニニギのもとへイワナガヒメを嫁がせる様に計らう。しかし結果として、イワナガヒメは送り返されてしまい、怒ったオオヤマツミは、「あなたの寿命は花が散るように儚いものになるだろう」とニニギに告げる。オオヤマツミが姉妹を二ニギに嫁がせたのには、繁栄と長寿を授ける為って云う事だけど、…父として、どちらの娘にも幸せになってもらいたい、という願いがあったに違いない。イワナガヒメの伝承が残る宮崎県の銀鏡(シロミ)神社や米良(メラ)神社には、オオヤマツミとイワナガヒメが共に祀られている。〇ニニギノミコトとの関係~子孫にも大きな影響を与えるやらかし邇邇芸命(ニニギノミコト)とイワナガヒメが関わるのは、とても短い間の事。アマテラスの孫であり、天界から地上へと降り立ったニニギ。美しいコノハナサクヤヒメと出会い、コノハナサクヤヒメの父・オオヤマツミに結婚の許しを得る。オオヤマツミの思いも知らず、ニニギは容姿に恵まれていないイワナガヒメだけをすぐに送り返してしまう。そしてイワナガヒメが持つ岩のような命の永続性を失ったニニギには、美しくも儚い花のような繁栄だけが残った。この時のニニギの選択が、神の子孫である天皇にも寿命を齎したと云う。又、『古事記』や『日本書紀』ではすぐにニニギのもとから追われたとされるイワナガヒメだが、伊豆地方や伊予地方の伝説では、ニニギの子を妊娠していたと云う説も残っており、イワナガヒメが「縁結びと縁切り」のご利益を同時に持つ由縁とも考えられる。〇ニニギノミコトとは?~木花咲耶姫との関係ふたりでひとつ?自然を象徴する姉妹神コノハナサクヤヒメとイワナガヒメは姉妹であり、浅間神社など一緒に祀られている神社も少なくない。コノハナサクヤヒメは桜との縁が深い火の神として、イワナガヒメは岩石の神として、何れも自然とのつながりが深い神である。又、コノハナサクヤヒメは富士山の化身とも云われ、一方でイワナガヒメは、大室山の化身だと云われている。伊豆地方では古来、「大室山」から富士山を褒めると、怪我をしたり不漁になったりと云う俗信がある。イワナガヒメ様がコノハナサクヤヒメ様に嫉妬してる、ってことなのか?ニニギのやらかしが後を引いている感じもする。美しいコノハナサクヤヒメと醜い姿だと云われるイワナガヒメは、対照的な存在として語られることも多く、「2柱で対となる神だったのではないか?」と云う説もある。〇八島士奴美神との関係~大国主命へと神話をつないだ夫婦八島士奴美神(ヤシマジヌミノカミ)は、須佐之男命(スサノオノミコト)と櫛名田比売(クシナダヒメ)の子で、木花知流比売(コノハナチルヒメ)の夫とされる神。コノハナチルヒメはオオヤマツミの娘で、この「コノハナチルヒメ」が、イワナガヒメと同一神ではないかという説がある。そして『古事記』で、ヤシマジヌミとコノハナチルヒメの子孫とされるのが、「因幡の白兎」のエピソードで知られるオオクニヌシです。このオオクニヌシは、木花咲耶姫・磐長姫らがニニギのもとへ嫁ぐエピソードが始まる前に、物語に登場しています。つまり「イワナガヒメはニニギと出会う前にヤシマジヌミと結婚していて、子(オオクニヌシノミコト)にも恵まれていた」って事。◆イワナガヒメのご利益祭神とする主な神社「岩の神」でもあるイワナガヒメには、岩のように命が続いていく延命長寿のご利益に繋がる。他に、安産・子孫繁栄・縁結びといったご利益。縁結びと縁切りのご利益を同時に持つ神様としても有名。また家内安全や海上安全と云った事でも、信仰を集める。 磐長姫 ご利益色々 安産・延命長寿・縁結び・縁切り 家内安全・海上安全・子孫繁栄 磐長姫を祭神とする主な神社 浅間神社 (全国各地) 浅間神社は富士山を信仰する社で、 全国に約1300社あり、境内には人工の山・富士塚がある神社も。 多くの浅間神社では、イワナガヒメとコノハナサクヤヒメが 共に祀られている。 一方、静岡県・雲見浅間神社と大室山浅間神社は、イワナガヒメのみを祀っている珍しい神社。大室山浅間神社が鎮座する大室山は、 山全体が国・天然記念物に指定。 貴船神社 (京都市) イワナガヒメを祀る神社の一つ。 貴船神社では、本宮・中宮(結社・ユイノヤシロ)・奥宮の3つ全てを参拝する「三社詣(サンシャモウデ)」が人気。中でも結社は、縁結びの社として有名。又、奥宮本殿の真下には「龍穴」と呼ばれる神秘的な大きな穴があり、日本三大龍穴の一つとされる。龍穴とは、大地に流れる気が吹き出て くる神聖な場所で、神の住処とも。 毎年6月には貴船祭と呼ばれる例祭が行われ、多くの人で賑わう。 銀鏡神社 (宮崎県 西都市) 銀鏡神社(シロミジンジャ)は宮崎県にあり、イワナガヒメと父・オオヤマツミを祀る。この社の御神体は、 イワナガヒメが投げたとされる鏡と、龍房山が御神体。12月には、夜を徹して舞い続ける銀鏡神楽が奉納され、国・重要無形民族文化財にも指定。参道を進むと樹齢300年超のイチイ樫の木があり、 「カリコポーズ」の「カリコ」とは「狩子」と云々、猟をするとき獲物を追い出す役目の人の事で、猟をする時の言葉から生まれた。山の尾根から尾根を「ホイホイ」と鳴いて廻るという言い伝えが、山で声を張り上げて獲物を追う「狩子」に似ているところから、この名が付いたと思われる。 春には川へ下り、川を守る水の神に。秋には山を登り、山を守る神に。森の中で人の話し声を出したり、山で大きな音を出したりと、ちょっとした悪戯もしますが、決して悪さはしない。地元では、山の仕事をするとき塩や米、焼酎を供えて山仕事の成就を山の神に祈る習慣があり、これを怠ると「かりこぼうず」が家をガタガタと揺すったり驚かせることがあると云う。 村の守り神「カリコポーズ」の声が聞こえるとの伝承も、宮崎県西米良村で古来、語り継がれ、西米良村は数多くの民話を伝承し続けている地として有名。 岩戸神社 (長崎県雲仙市) 長崎県・岩戸神社にもイワナガヒメが祀られ、古来、「岩戸さん」と呼ばれて地元で親しまれている。 御神体は、縄文人が住んでいたと云う洞窟。この洞窟は歴史的な価値を持つだけでなく、イワナガヒメの神秘的な力を感じられる場所として信仰され、岩戸神社の本殿は、巨大な岩窟と巨木に囲まれている。 境内には小さな滝壺もあり、人々を神秘的な雰囲気で包む「神秘の森」として知られる。又、また、岩戸神社の手前にある岩戸水神の水くみ場にはハート形のパワーストーンがあり、触ると恋愛運がアップすると云う。