ハイドン:交響曲第104番『ロンドン』 | angsyally1112のブログ

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ハイドン:交響曲 第104番 ニ長調 HobI:104


昨年の8月からハイドンの交響曲を第60番から聴き始めてとうとう最後の第104番に至りました。
その間、殆んど他の音楽を聴いていません。正直、私自身の曲さえも聴いていません。
一体どうしてなのでしょうか?
昨年の7月に1年勤めたアルバイト先が閉店し、新たな勤務先を見つけて勤め始めました。
又、その頃家人が圧迫骨折になり、その為家事が増えた事もありました。
新しい勤務先の作業が結構きつく、右親指がバネ指になった事も関係しています。
親指の手術を無事に終え、指も再び動くようになりました。

ハイドンの最後の第104番を聴き始めた頃、無性に自身の曲を聴きたくなりました。
その為、この第104番の投稿が遅れてしまいました。
 
第101番『時計』がある意味でのピークと思えます。
その後の第102番、第103番、そしてこの第104番は名人芸的な作曲技法で、確かに完璧な交響曲となっています。
しかし、その反面前衛的なサウンドは少し減衰しているように聴こえます。
ひょっとしたら、ハイドン自身この後の交響曲を作る必然性そして意欲をもう感じなくなったのかもしれません。
最終楽章は、まるでクリスマスイブの賑やかな街の風景のようにも聴こえます。そのカーニバル的なサウンドは、正にハイドン交響曲全104曲の最終楽章にふさわしい祝祭音楽です。
ですから、この第4楽章がおとなしい演奏は今回選んでいません。

この最終楽章は、ハイドンにとっては数多く作曲した交響曲、その最終楽章の一つに過ぎないのでしょうが、私のように240年後の聴衆にとっては、104曲もあるハイドン全交響曲の本当の最後の楽章ですから、期待に溢れる格別の存在です。

『偉大なるワンパターン』
12曲の『ロンドンセット』、どの曲も殆んど同じパターンで作られています。(短調の第95番のみ序奏が無い等の違いがあります。)
少しずつ進展・変化して行きますが、同じパターンで、正直どの音楽が何番だったか良く覚えていません。
それでも、面白い。
どの曲もモーツァルトやベートーヴェンでは体験できない高揚感を味わう事ができます。
この第104番も又同様です。
優しいテーマの直後オクターブ上がって叫び上げます。いつものパターンです。
テーマの展開の後再度別の展開そして第2テーマ、大体こんな感じでいつも展開部に入って行きます。
それぞれの展開がとても刺激的なサウンドです。それは、フルオーケストラでは無理で、室内楽的な小編成のオーケストラでのみ可能なサウンドです。
1970年~1980年代のフルオーケストラのハイドンも時たま聴くならば素晴らしくも思えるのですが、やはり室内楽的な緻密なサウンドのハイドンでないと感動が薄いです。


ハイドン:交響曲 第104番 ニ長調 HobI:104
モスクワ室内管弦楽団
ルドルフ・バルシャイ指揮
1973年録音


1970年代の演奏ですが、バルシャイのハイドンは、今では私のハイドン交響曲を聴く上での基本ベースになっています。
その激情的な情念の爆発にはいつも興奮させられます。この第104番も先ずこの演奏です。


ハイドン:
交響曲第104番 ニ長調「ロンドン」 Hob.I:104
• カメラータ・スコットランド
• ウィリアム・コンウェイ(指揮)


所有するバルシャイ盤に一番近いサウンドかも知れません。
バルシャイ盤に比べると幾分理知的で
、第1ヴァイオリン主導のバルシャイ盤に比べてフラットでリアルなサウンドです。
当然新しい分録音も鮮明です。又、メヌエットもどちらかというとスケルツォのように聴こえます。
ミヒャエル・ギーレン盤も理知的で個性的な演奏ですが、ギーレン盤は幾分アップテンポの為力が入り過ぎの感がするので、同じようなコンセプトの演奏では今回はこのコンウェイ盤を選びました。



交響曲第104番ニ長調『ロンドン』Hob.I-104
レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル‐グルノーブル(ルーヴル宮音楽隊)
マルク・ミンコフスキ(指)
録音時期:2009年6月


今までざーっと聴いてきたミンコフスキの『ロンドンセット』の中では突出して素晴らしい演奏のように思います。
頭の中を空っぽにして、このラグビーボールを蹴飛ばしたような爽快なサウンドに身をまかせています。
メヌエットも軽快なスケルツォに聴こえます。


フィルハーモニア・バロック・オーケストラ
ニコラス・マギーガン(指揮)
録音 2009年9月12-13日


ライブ盤特有の盛り上がりが素晴らしい演奏です。
特に最終楽章の迫力は群を抜いています。
燃え上がる情感に溢れたアナログっぽい『ロンドン』です。

今回選んだ最近の演奏のコンウェイ盤、ミンコフスキ盤、マギーガン盤の3点はいずれもライブ盤のようです。(コンウェイ盤?)
どの演奏もライブ盤特有の高い緊張感と高揚感があります。


トーマス・ビーチャム盤
とにかく美しい第2楽章、夢見るようにうつろい行く心象風景がロマンチックです。
この曲の全く違った一面を知る演奏です。


ハイドン
 ・交響曲第102番変ロ長調
 ・交響曲第104番ニ長調『ロンドン』
 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
 ジェーン・グローヴァー指揮  
 録音:1994年9月[デジタル]


フルオーケストラの『ロンドン』の魅力を満喫できる演奏です。
私はハイドンの交響曲の演奏はどれも、室内管弦楽団位の小編成オーケストラが好みですが、時にはこのようなスケール感のあるロマンチックなハイドンも良いですね。

只、せっかく集めた多くのフルオーケストラの『ロンドンセット』に余り魅力を感じられなかったのが残念です。

私の心をこのように永く捕え、時には励まし、時には慰めとなって日々の生きる支えであったハイドンの交響曲ともこの曲で暫くお別れです。

ヘッドホンは、DENON AH-D5000バランス接続とBeyerdynamic dt1990proを使いました。