ハイドン:交響曲第96番『奇蹟』 | angsyally1112のブログ

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ハイドン:交響曲第96番 ニ長調 Hob. I:96『奇蹟』
偶数番号への期待通り、アグレッシブな曲です。但し、少々コミカルな表現も目立ちます。
兎に角破天荒に前進する簡潔な第1楽章と異様な叫びにまで発展する最終楽章の充実感は誠に快感です。
しかし演奏によっては大分印象も変わります。


ヨッフム盤
ハイドン:
● 交響曲第96番ニ長調『奇蹟』
交響曲第97番ハ長調
● 交響曲第98番変ロ長調
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
オイゲン・ヨッフム(指揮)
録音時期:1973年

明るく楽しい『奇蹟』の定番ですね。

流石にヨッフム、隅々迄ハイドンらしさで満ちています。
第2楽章もこのように演奏されると、悲痛な悲しみは全く感じません。『ボヘミヤの牧歌』のような美しい音楽です。
この曲のユーモラスでコミカルな面を十分に感じられます。
力強さ、躍動感も素晴らしいです。
文句無しの名盤なのですが、そのまとまり過ぎたロマン派的な解釈に不満足を感じ、もっと別のそして本来の『奇蹟』を求めるです。 



ハイドン:
・交響曲第96番ニ長調『奇蹟』
・交響曲第100番ト長調『軍隊』
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:カール・ミュンヒンガー
録音時期:1957年5月、1961年4月(第100番)
録音場所:ウィーン、ソフィエンザール

録音方式:ステレオ(セッション)(NMLライブラリーで聴いて直ぐにCDを入手しました。)


1957年の随分古い録音です。
一応ステレオ録音です。奥行きはありますが左右の分離は今一つです。
ウィーンフィルとは思えない程に繊細で厳しいサウンドです。(余分な情緒を削ぎ落としたような音質です。)
最終楽章の展開部の激しい不協和な叫び声のようなサウンドを聴くと、ウィーンフィルもこんな音が出せるのだと驚きます。
ゆったりとした第2楽章は、後の『未完成』交響曲や『英雄』交響曲の緩徐楽章を想起させる『葬送』音楽のような深刻さがあります。


ハイドン:交響曲第96番ニ長調『奇跡』
ポール・パレー指揮
デトロイト交響楽団
Rec:October 1956(NMLライブラリーより)

これも随分古い録音のようですが、ステレオでとても鮮明に聴こえます。カール・ミュンヒンガー盤より遥かに鮮明な音です。
現代の演奏のように誇張の無いアップテンポで、とても緊張感に満ちた躍動的な演奏です。第2楽章も何か物に憑かれたような情熱的なサウンドです。
この時代の演奏としては、とても新しい『奇蹟』に思われます。



ハイドン:
・交響曲第96番ニ長調 Hob.I-96『奇跡』
交響曲第94番ト長調 Hob.I-94『驚愕』
アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック(エンシェント室内管弦楽団)
クリストファー・ホグウッド(指揮)

録音:1984年8月、聖バルナバ教会、ロンドン

最も愉悦感に浸れ力感に溢れた演奏です。
初演当時の楽器編成のようですが、果たしてこのような音楽が聴こえたのかは誰も分かりません。
只、この演奏に耳が慣れると大がかりなフルオーケストラのハイドンには、違和感を感じるようになります。
(このCDも購入しました。)

飯森範親盤
ハイドン:
1. 交響曲第96番ニ長調 Hob.I:96『奇蹟』
2. 交響曲第18番ト長調 Hob.I:18
3. 交響曲第99番変ホ長調 Hob.I:99
4. 交響曲第30番ハ長調 Hob.I:30『アレルヤ』
日本センチュリー交響楽団
飯森範親(指揮)
録音時期:2015年11月20日(3,4)、2016年2月26日(1,2)(NMLライブラリーより)

例によって、弾むような豊かな中低音に乗ってきびきびしたハイドンのメロディが歌われて行きます。その充実したサウンドは正に現代のハイドンです。ホグウッド盤のような明るさはありません。厳しい程のリアルな音質です。
しかし、独特のリズム感がとても心地好く感じられます。
この曲に関しても、トーマス・ファイ盤に比べて、より実体感のあるサウンドでとても新鮮な感動を味わえます。


ヘッドホンは、今回はBeyerdynamicT-1バランス接続で聴きました。AH-D5000より確かに精細な音が聴こえます。