ショスタコーヴィチ:交響曲第10番/ロジェストベンスキー | angsyally1112のブログ

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ショスタコーヴィチ
・交響曲第10番ホ短調 Op.93(1986)
ソヴィエト国立文化省交響楽団
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮)

ショスタコーヴィチ生涯の天敵、スターリンへの激しい憎悪・嫌悪・怒りに満ちた音楽といわれているこの交響曲、ショスタコーヴィチのスターリンへの屈辱に満ちた恐怖故に複雑な音楽になっていますが、この演奏は、誠にストレートにその怒りが表現されています。(ショスタコーヴィチ自身は、そのような解釈を容認しているわけではなく、「もっと純粋な人間的な感情と情熱とを描きたかった」とのコメントを残しているようです。)


今、又スターリンの亡霊のようなプーチンが現れ、人々を暴力と恐怖で支配しようとしています。久々に聴くこのロジェストベンスキーの演奏は、寒々とした『シベリアの零下20度の極寒の世界の』サウンドに乗せて誠に壮絶な音楽をリアルに再現してくれます。


第1楽章展開部の恐怖感は誠に身が縮む思いがします。今までは、特に『スターリンの肖像』といわれている第2楽章の激しい演奏を求め、ペトレンコ盤、ヤルヴィ盤等に馴染んでいましたが、このロジェストベンスキー盤では、この曲の全体像がくっきり見えて来ます。第3楽章の後半部の迫力は、今まで聴いた演奏の中では随一のサウンドです。
シューベルトの『未完成』のような序奏で始まる最終楽章、なんともあやふやな、あてのない、希望への音楽ですね。荒廃した風景に茫然と佇み、それでも微かな希望の元に立ち上がろうとするサウンドは、現在のウクライナに重なります。

ヘッドホンは、MDR-Z7バランス接続です。